2PMジュノと共演した『キング・ザ・ランド』で「ラブコメの女王」の地位を確立した少女時代のユナが、朝鮮王朝時代にタイムスリップしてしまうフレンチの天才シェフを演じる『暴君のシェフ』が、Netflixで独占配信中だ。
朝鮮王朝時代にタイムスリップするシェフといえば、同じく「ラブコメの女王」の異名をもつシン・ヘソン主演の『哲仁王后~俺がクイーン!?』を思いおこす。こちらは、チェ・ジニョク演じる高慢なシェフの魂が、奥ゆかしい王后(シン・ヘソン)の身体を乗っ取ってしまうという設定だった。
本作『暴君のシェフ』は、あけすけに物をいう勝気な敏腕シェフが、戒律の厳しい朝鮮王朝時代にワープし、当代の暴君、イ・ホン(イ・チェミン)を相手に大波乱を巻き起こす痛快ラブロマンスだ。(以下、一部ネタバレを含みます)
■少女時代ユナ&イ・チェミン共演、時代を超えたラブコメ『暴君のシェフ』見どころ
フレンチのシェフ、ヨン・ジヨン(ユナ/『ビッグマウス』)は、フランス最高の料理対決ショーで優勝し、三ツ星レストランのヘッドシェフに抜擢される。皆既日食の日、父から頼まれた朝鮮王朝時代の史書『望雲録』を携え、韓国へと向かう機内で、ジヨンの身に変化が起こる。
気が付けばジヨンは見知らぬ林の中にいて、馬にまたがり韓服を着た男から矢を放たれた。のちに彼が、暴君として悪名高き国王、ヨンヒ君ことイ・ホン(イ・チェミン/『バニーとお兄さんたち』『イルタ・スキャンダル ~恋は特訓コースで~』『ヒエラルキー』)だとわかる。ジヨンは、知らぬ間に500年前の朝鮮王朝時代にタイムスリップしてしまったのだ。
鬼女(怪しい女)として囚われの身となったジヨンだったが、ジヨンが作る独創的な料理が、美食家であるホンの舌を虜にし、ジヨンは水刺間(スラッカン)の待令熟手(テリョンスクス=王様の台所の最高責任者)に大抜擢される。見慣れぬ朝鮮王朝時代の調理器具や食材に驚きながらも、ジヨンがどんな魅力的な料理でホンの舌を唸らせるのか、今後の展開が楽しみだ。
ジヨンがホンに初めて振る舞った料理は、地元の山菜などを使ったコチュジャン(唐辛子味噌)バタービビンバだった。最初はその辛さに衝撃を受けるホンだったが、あとからにじみ出る美味しさに感銘を受ける。
唐辛子が韓国に普及したのは、秀吉の朝鮮出兵(1592年~1598年の文禄・慶長の役)がきっかけといわれている。ドラマの原作であるウェブ小説『燕山君のシェフとして生き残る』のタイトルから、ホンのモデルは、朝鮮王朝第10代王・燕山君(在位期間:1494~1506年)であることがわかる。唐辛子を食べたことがないホンにとって、ジヨンが作ったコチュジャンたっぷりのビビンバは、かなり衝撃的だったに違いない。そんな食の歴史的背景を考えながら本作を見ると、さらに楽しめそうだ。
また、本作では、ホンが8歳のときに、実母ヨン氏が廃妃となり亡くなったことが、ホンが暴君となった背景として描かれている。そんな母との食事の思い出が、ジヨンのビビンバによって蘇ったシーンが切なく、胸を締め付ける。
ホンの叔父で、謀反を狙う済山大君(チェ・グィファ/『犯罪都市』シリーズ)や、済山大君の腹心でホンの側室であるカン・モクジュ(カン・ハンナ/『最愛の敵~王たる宿命~)。そして、ホンの祖母である仁宗大王大妃(ソ・イスク/『クイーンメーカー』『夜に咲く花』『良くも、悪くも、だって母親』)など、イ・ホンの王座を脅かす者たちの動きにも注目だ。
演出は、『根の深い木 −世宗大王の誓い−』『ホン・チョンギ』といった時代劇から、『ハイエナ』『星から来たあなた』など、話題作まで幅広いヒット作をもつチャン・テユ、脚本はfGRDが手掛ける。

●配信情報
[2025年/全12話]演出:チャン・テユ 脚本:fGRD
出演:ユナ(少女時代)、イ・チェミン、カン・ハンナ、チェ・グィファ、オ・ウィシク、ユン・ソア、イ・ジュアン、パク・ヨンウン、キム・グァンギュ、ホン・ジンギ