Netflix注目作『テプン商事』でジュノ(2PM)が演じる主人公カン・テプンは、倒産寸前のテプン商事の社長に就任した。父親カン・ジニョン(ソン・ドンイル)の急死によって人生が劇的に変わったが、失業者が街にあふれる中で「ピンチはチャンス」と大胆なビジネスにチャレンジする。(以下、一部ネタバレを含みます)
■深刻な経済危機が背景のNetflix『テプン商事』、2PMジュノ扮するテプンは起死回生なるのか?
『テプン商事』が描いているのは1997年12月以降だ。韓国は深刻な経済危機に陥ってIMF(国際通貨基金)に緊急支援を要請していた。国家が破産状態になった中で、テプンは大胆な行動に出る。
釜山(プサン)に出かけて、素性がよくわからない靴メーカー(シューパク)の製品を大量に買い付けたのだ。確かに、「安全な靴」として作りが丈夫で申し分がなかった。しかし、シューパクは不渡りを出しており、ヤミ金融から多額の借金をしていた。
本来ならテプンも甚大な被害を受けてしまう。だが、彼はひるまず、ヤミ金融と交渉して1億ウォンを支払うという約束を交わして、重傷になるまで殴られていたシューパク社長のパク・ユンチョル(チン・ソンギュ)を無事に救出した。その際、テプンがヤミ金融に渡した借用書が前代未聞だった。なんと、手のひら全体に朱肉を塗って、それを押印の代わりにしたのである。
ドラマを見ていて、この大胆な行動にビックリしてしまった。同時に、破天荒なやり方こそがテプンによく似合う、と喝采を送りたい気分になった。
とにかく、テプンは常識を簡単に覆してしまう。亡き父親からは「金より大事なのは人」という教えを受けていた。そのことを金科玉条にしていた彼は、困っている友人に所持金を全部渡して助け、自分を裏切ったはずのシューパク社長も支援した。「滅私」という言葉が死語になるような世の中で、テプンは「人が財産」を忠実に実行していく。
当時の韓国は経済危機の影響で街に失業者があふれていた。リストラが当たり前の世の中で、世相に逆行するような生き方を貫いている。そんなテプンこそが人材主義を象徴するヒーローだと言えないだろうか。
もちろん、ビジネスは生半可なものではない。まして不況の真っただ中。テプンのやり方が功を奏すかどうかはまったくわからないが、彼が見せる友愛精神が通用しなくなれば、完全に非情で真っ暗闇の世の中になってしまう。