韓国時代劇はどの作品も、困難な時代の中で懸命に生きる人々の姿を鮮やかに描いている。それゆえ、過去の人々の物語でありながら、今を生きる私たちの胸に深く響いてくる。そんな時代劇が持つ説得力に感心させられる中で、今回は壮大なスケールで作られた骨太な時代劇を3作選んで紹介する。
■一気見したい韓国時代劇3選!『王になった男』『王女ピョンガン』『シュルプ』
■『王になった男』
圧倒的な存在感を放ったのが、1人2役で国王イ・ホンと道化師ハソンを演じたヨ・ジングである。権力に縛られた国王と、庶民の中で生きてきた道化師という、まったく異なる魂を宿した人物を、繊細かつ力強く演じ分ける姿には凄味があった。
さらに、哀しみを多く抱えた王妃に扮したイ・セヨンの、透き通るような表情も強く印象に残る。微笑みの奥に秘めた孤独が、画面越しに静かに伝わってきた。
物語は、身分の低い道化師が国王の影として生きるうちに、やがて本物の国王となり、庶民のための政治に身を投じていく姿を描いている。朝鮮王朝の歴史を下敷きにしながら、「国王が果たすべき統治の本質とは何か」を問いかける点も興味深い。
●作品情報
『王になった男』
[2019年/全16話]演出:キム・ヒウォン 脚本:キム・ソンドク、シン・ハウン
出演:ヨ・ジング、イ・セヨン、キム・サンギョン、チョン・ヘヨン、チャン・グァン、クォン・ヘヒョ
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■『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』
このドラマは、非常に有名な歴史エピソード「ピョンガン(平岡)王女と馬鹿のオン・ダル(温達)」という話を基盤にしている。勝ち気な王女が、貧しいけれど正直な男と結ばれ、内助の功によって夫を大出世させる。古くから語り継がれてきたこの逸話は、韓国の人々にとって特別な意味を持つ。
本作では、そのエピソードを現代的な感性で再構築し、ドラマとして丁寧に紡ぎ上げている。強い意志を持つピョンガン王女(キム・ソヒョン)と誠実で不器用なオン・ダル(ナ・イヌ)が力を合わせ、必死に高句麗(コグリョ)を守っていく。その姿は、ゆったりとした大河の流れのようであった。
特に印象的なのが、2人が互いを信じて少しずつ成長していく過程である。そこを温かい視線で捉えているので、見ていてとても心地よかった。
●作品情報
『王女ピョンガン 月が浮かぶ川』
[2021年/全30話]演出:ユン・サンホ 脚本:ハン・ジフ
出演:キム・ソヒョン、ナ・イヌ、イ・ジフン、チェ・ユファ、カン・ハヌル
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