■『シュルプ』
史実に基づかない架空の物語でありながら、王宮の権力闘争を驚くほど生々しく描いている。
キム・ヘスが、王子たちを必死に守るファリョン王妃を演じ、重厚な存在感を放つキム・ヘスクが、大妃(テビ)として立ちはだかる。2人が真正面から対峙する場面では、沈黙の中に張りつめた緊張感が走り、見ているほうが息を止めてしまうほどであった。
物語の序盤から、大妃、王妃、側室、王子たちの思惑が複雑に絡み合っていく。大妃は側室の出身で、かつての王妃を廃妃に追い込んで自ら王妃となった人物である。その後、大妃となって王宮の実権を握っていく過程は、冷たくも現実的である。
一方、ファリョン王妃は、多くの王子を抱える母として、王宮の中で確かな居場所を守ろうと必死にあがく。その姿は、権力のためではなく「家族を守るための闘い」として描かれており、従来の時代劇にはあまり見られなかった新しい方向性を感じさせる。母であることの強さと苦しさを両方抱えていたファリョン王妃。見ていて応援したくなった。
●配信情報
Netflixシリーズ『シュルプ』独占配信中
[2022年/全16話]演出:キム・ヒョンシク 脚本:パク・バラ
出演:キム・ヘス、キム・ヘスク、チェ・ウォニョン、キム・ウィソン、ムン・サンミン、オク・ジャヨン、カン・チャニ
Netflixシリーズ『シュルプ』独占配信中


