サムギョプサルの普及と高級化で、牛肉に肉薄する豚肉

 朝鮮半島では長らく豚肉より牛肉が上位に君臨していた。日本で関西の人が豚肉より牛肉を圧倒的に格上と見る感覚に似ているかもしれない。豚肉の存在感が増したのは、1990年代末、IMF事態(金融危機)のときのこと。冷凍サムギョプサルをカンナでスライスして出す店が「IMF価格!」などと謳って低価格で食べさせ人気を得た。

ここ数年のレトロ志向で再び脚光を浴びているカンナでスライスされた冷凍サムギョプサル

 2000年代に入り、豚肉の質が向上し、食べ方も多様化することによって、サムギョプサルは牛焼肉の代用品ではなくなった。日本では2004年頃、東京の新大久保をはじめとするコリアンタウンにサムギョプサル専門店が急増し、それ以前から在日コリアンの焼肉店で出されていた牛カルビや牛ロース焼肉とは別の焼肉ジャンルとして確立された。

 筆者はソウルで日本からの旅行者を飲食店に案内することが多いが、最近は漠然と「焼肉が食べたい」という人より「サムギョブサル」が食べたいとはっきり言う人のほうが多い。

高級化が進むサムギョプサル

 レトロ志向の冷凍サムギョブサルはリーズナブルだが、サムギョプサルは高級化が進み、けっして安い食べ物ではなくなった。それと比べればソン・シギョンと松重豊が嬉々として食べていたカムジャタンは、鍋のサイズによって30,000ウォン台後半から40,000ウォンくらいで食べられる。しかも、ソジュの最高の友である。この冬、日本のみなさんにもぜひ試してもらいたい。

カムジャタン屋の店先では豚の背骨と真っ赤なスープが客を引く

●配信情報

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[2025年~2026年] 出演:ソン・シギョン、松重豊