韓国人に「冬、ソジュのつまみと言えば?」と聞けば、5人に1人はカムジャタンと答えるだろう。何人かでつつく鍋物だ。

 料理名にカムジャ(ジャガイモ)が冠されているが、主役は豚の背骨に付いた肉。それをニラやネギとともに唐辛子ベースのヤンニョム(合わせ味噌)で煮込み、エゴマの葉や実、エノキダケをトッピングする。ジャガイモは店によって入っていたり、いなかったりする。ちなみに、鍋でなく一人用の器で提供されるものは、ピョダギヘジャンクッとか、テジピョヘジャンクッなどと呼ばれる。

Netflix隣の国のグルメイト』に登場したカムジャタンは庶民的な韓国料理の代表格

 Netflixグルメバラエティ『隣の国のグルメイト』シーズン4の7話では、カムジャタン好きなバラード歌手ソン・シギョンが、松重豊をソウルの往十里(ワンシムニ)にあるカムジャタン専門店「ジェスドン・カムジャタン往十里店」に案内した。

 往十里の北にある馬場洞(マジャンドン)には、かつて豚や牛の食肉処理場があった。だから今でも近くに馬場洞畜産物市場がある。肉や内臓を使ったヘジャンクッ屋の店名に「往十里」が冠されていることが多いのもそのせいだ。

 ソン・シギョンが松重豊に語ったことのなかで注目すべきは、「ビビンパプルコギなどではなく、カムジャタンやクッパのような庶民的なものこそが韓国料理の代表ではないかと思います」だ。

 松重がカムジャタンを絶賛し、「庶民の味とは思えない。これだけごつい骨付き肉がたっぷり入っていると、日本人には高級な料理のように見える」と言っているにもかかわらず、韓国でカムジャタンが高級視されないのは、主役が豚だからということもあるだろう。

ピョヘジャンクッはいわば一人用カムジャタン。ジャガイモなし
木浦全羅南道)駅前にある有名店のピョヘジャンクッ