■テジクッパのルーツは?
意外に思われるかもしれないが、ある時期までの韓国人には豚骨スープの獣臭(けものしゅう)が苦手な人が少なくなかった。筆者もその一人で、日本に留学していた1990年代後半は豚骨ラーメンが食べられなかった。
それが変わってきた背景には、テジクッパが釜山から北上してきたことや日本に旅行に行く人の増大で豚骨スープに慣れてきたこともあるだろう。今では日本で豚骨ラーメンを食べ歩いて、それをSNSに上げる者も珍しくない。
筆者は今からちょうど20年前、本を書くために当時釜山で50年以上の歴史のあったテジクッパの店を2軒、取材したことがある。
主人たちの話を要約すると、半島北部から釜山に逃げてきた朝鮮戦争避難民のために、北部でよく食べられていたスンデ(豚の腸詰)を入れたクッパ(汁かけ飯)を出そうとした食堂が戦後、いくつもあった。
ところが、当時の韓国は世界最貧国。食材も乏しく、手間ひまのかかるスンデを作るのは困難だった。そこで、スンデの代わりに豚の端肉や内臓を入れて食べたのがテジクッパの始まりということになる。

