Netflix配信の日韓食べ歩きバラエティ『隣の国のグルメイト』シーズン4第11話では、韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンが、九州出身で豚骨スープが好きな松重豊を釜山名物「テジクッパ(豚骨と豚肉の汁かけ飯)」の店に案内した。じつはテジクッパはこの20年間での変化が激しく、全容がつかみきれていない食べ物なのだ。ここでは、その変容やルーツを整理してみよう。
■テジクッパは全国区の食べ物ではなかった!?
「なぜこのレベルのテジクッパがソウルにないのだろう?」
釜山のテジクッパを食べながらソン・シギョンが言った。
テジクッパは元々、釜山とその周辺(慶尚南道)で食べられてきたローカルな食べ物だ。スンデクッパやネジャン(内臓)クッパを出す店は全国にあったが、ソウルをはじめ釜山から遠い地域でテジクッパという名前の料理が出され始めたのは、この十数年のことだろう。
その変化はソウル鐘路3街(チョンノサムガ)の楽園商街(ナグォンサンガ)という古い雑居ビル脇にあるクッパ横丁や永登浦(ヨンドゥンポ)市場のスンデ横丁を見れば明らかだ。この辺りでは以前からスンデクッパ、ネジャンクッパ、ソモリ(牛頭)クッパは出していた。
その後、グルメ志向の急伸や国内旅行客の増大により、ローカルな食べ物への関心が高まった。ソウル偏重だったグルメ番組の取材が釜山をはじめとする地方へも広がっていった。釜山のあるテジクッパの老舗は十年前に「水曜美食会」という人気番組で取り上げられて以来、数年間は平日でも行列が絶えなかった。
楽園商街のクッパ横丁には、すでに「テジクッパ」を店名に冠している店もあるし、グルメYouTubeでクッパの店を知った若者はこの辺りを「テジクッパ・コルモク(横丁)」と呼んだりしている。
テジクッパは釜山では多様に発達しているが、ソウルに釜山の専門店の支店ができたり、スンデクッパの店がテジクッパをメニューに加えたりしてから、まだそう時間が経っていないのだ。