■「ラーメン食べて行く?」の元祖は名作映画の一場面
「(ウチで)ラーメンでも食べる?」
異性からこう言われたら、今夜はその人の家にお泊りかも……。
韓国人がこんなふうに連想がするようになったきっかけは、前述の映画『春の日は過ぎゆく』の次の場面にある。
サンウ(ユ・ジテ)がある夜、ウンス(イ・ヨンエ)をアパートまでクルマで送った。二人はどこか別れがたい雰囲気だ。いったんクルマを離れたウンスが戻ってきて言う。
「ラーメンでも食べてく?」
サンウを家に招き入れたウンスはラーメンを茹でながら言う。
「泊ってく?」
ラーメン→お泊りの構図は、巷で自然発生したものではない。この名場面から生まれ、その後、ドラマやバラエティなどでたびたび登場して話題になった。
近年の作品だと、『Missナイト & Missデイ』がそれだ。15話の後半、ジウン検事(チェ・ジニョク)の相棒、ビョンドク捜査官(ユン・ビョンヒ)に主人公ミジン(チョン・ウンジ)の親友ガヨン(キム・アヨン)が次のように言った。
「その話、ウチで詳しく聞かせてください。ラーメンでも食べながら」
また、Netflix映画『パヴァーヌ』ではデートのあと、ギョンロク(ムン・サンミン)の家の前までついてきたミジョン(コ・アソン)がポツリと言う。
「私、ラーメン食べたいな」
韓国の「ラーメン食べて行く?」は、日本で言えば、「(ウチで酒を)飲み直さない?」「(ウチで)夜明けのコーヒー飲まない?」、台湾で言えば「朝市に行かない?」に相当する、お泊りの呼び水なのだ。
劇中、にわか学習で深夜ラーメンを裏読みしたソリと、それをからかうようなセゲのやりとりがどこかコミカルに描かれていたように、最近の「ラーメン食べて行く?」はリアリティを失い、半ばギャグ化している感がある。
『素晴らしき新世界』は、恋愛には慎重すぎるほど慎重だった朝鮮王朝時代を過ごしたソリが、セゲに対する複雑な感情に悩まされながら、現代社会に適応しようともがく姿が視聴者の心を打つ作品だ。
●配信情報
Netflix『素晴らしき新世界』独占配信中
[2026年/全14話]演出:ハン・テソプ 脚本:カン・ヒョンジュ