兵役の代わりに、離島の保健所で公衆保健医師として働くジイ(イ・ジェウク)の成長と恋の物語『孤島のエリートドクター』。物語の序盤は島でのカルチャーショックが描かれるが、中盤からは同僚の看護師ヘリ(シン・イェウン)とのラブロマンスが展開される。(以下、一部ネタバレを含みます)
■『孤島のエリートドクター』上着を傘代わりにして雨中を走る二人
本作4話に、印象的なシーンがあった。
島の老人たちとの和解が成立し、リラックスしたジイとヘリ。シュポ(食料雑貨店)でビールを飲み、海辺でホタルを見ていると、突然の雨。ジイは自分の上着を傘代わりにしてヘリとともに走り抜ける。
韓流ラブロマンスが好きな人なら過去、映画やドラマで何度も観たであろうこのシーン。最近では、『素晴らしき新世界』のホ・ナムジュンとイム・ジヨンや、『マンスリー彼氏』のジス(BLACKPINK)とイ・スヒョク。少し前のヒット作なら『その年、私たちは』のチェ・ウシクとキム・ダミ、『恋のスケッチ~応答せよ1988~』のコ・ギョンピョとリュ・ヘヨンが、似たような雨のシーンを演じていた。
韓国人にとっては、ユ・ジテとイ・ヨンエ主演の名作『春の日は過ぎゆく』に端を発する「(ウチで)ラーメン食べて行く?」=(泊まって行く?)のやりとりに匹敵する恋愛ストーリーの王道場面だ。
男と女が上着を傘代わりにして雨をしのぐシーンで決定的な印象を残したのはやはり、映画『ラブストーリー』(2003年)だろう。当時、二十一歳のチョ・インソンと二十歳のソン・イェジンがベージュのジャケットを傘代わりにして大学キャンパスを図書館まで走るシーンは、のちに多くのドラマで踏襲されている。
韓国より日本で先に高く評価された映画『八月のクリスマス』にもそんなシーンがあったと記憶している人が多いが、あれはポスターや映像ソフト用に撮影された写真で、劇中ではジョンウォン(ハン・ソッキュ)とタリム(シム・ウナ)が相合傘で寄り添って歩く映像が使われている。ジョンウォンを急に男性として意識し始め、タリムが戸惑いの表情を見せる名場面だ。
■雨に情緒を感じる韓国人
日本人の知人に言われて気づいたことだが、私たち韓国人はどうやら雨に情緒を感じやすいようだ。
その理由はいろいろ考えられるが、そのひとつはソウルなど半島の北寄りは大陸性気候なので日本と比べると雨が少ないことがあるだろう。
たとえば梅雨の季節を韓国人が日本人ほど憂鬱と感じないように見えるのは、日本の梅雨が約一カ月半あるのに対し、韓国の梅雨は約一カ月弱ということもあるかもしれない。
大陸性気候ゆえ、空気も日本より韓国のほうが乾燥している。冬から春にかけてはとくに空気が乾いているので、梅雨をすべてに潤いを与える天恵ととらえる傾向があるのだろう。