今年(2026年)の8月初旬、ソウルを猛暑が襲った。8月7日、蘆原(ノウォン)区では40.2度を記録した。ソウルの夏は毎年暑いが、40度となるとさすがに身構えてしまう。暑いのはソウルだけではない。8月初旬には、韓国各地で40度を超えた。

 さまざまな国で天気予報を観る。現地の言葉はわからない国が多いが、天気予報は想像力で補うことができる。ざっくりとした感じの内容の国が多い。東南アジアなど、国内のどの都市も、晴れと曇り、雨が表示されることがある。雨季はそんな1日になることが多いのだ。

 低気圧や前線の位置を示し、その国の地方ごとに細かい天気の動きを予想する国といったら、日本と韓国である。テレビ各局は、現地の映像を交えて、詳細な天候予測を競っている。

 韓国ドラマにも、天気を予測する現場を舞台にした作品がある。東南アジアの人が観たらピンとこないかもしれないが、日本人にはその感覚がわかる。『気象庁の人々: 社内恋愛は予測不能?!』がそれ。天候の予測を巡って、庁内のスタッフが激論を交わす。そこに韓国ドラマらしく、ラブストーリーを絡めてくる。パク・ミニョンソン・ガンユン・バクらが出演している。

 アジアのなかで、極東といわれる地域の夏は厳しい。日本、韓国、中国の沿海部、台湾、香港……。高温になるが、それ以上に湿度が高い。東南アジアの気温は高いが、湿度がそれほどあがらない。日陰に入るとだいぶ楽になる。風が吹くと汗を乾かしてくれる。これが気持ちいい。

 しかし極東の夏は、湿度が高いから、日陰に入っても不快なのだ。逃げ場がないといった感じだろうか。頼りは冷房ということになってくる。エアコンが湿気をとりのぞいてくれることが快感につながる。

 しかしアジア各国はどこもインフレ傾向。電気代もあがり、家の冷房をつけっぱなしにすると、その月の電気代が気にかかる。

 上海では、そんな人たちが地下鉄の通路に集まった。地下鉄に乗るためではないから、改札へとつづく通路にやってくる。そこも冷房が効いているからだ。通路の床に座ることになるから、やってくる人たちは、床に敷くビニールや布を持参。飲み物、お菓子、果物などを持参して集まってくる。気の合った仲間と一緒にやってくる人も多いという。

 上海は若者の就職難が深刻で、資格をとるための勉強を続ける若者も多いという。地方からやってきて、仕事を探すのだが、部屋にいると冷房代がかさむ。彼らは何冊もの本やパソコンまで地下鉄内の通路にもち込み、そこで勉強に励んでいた。

 ソウルでも地下鉄? ソウル在住の韓国人に訊くと、暑さしのぎで地下鉄の通路にやってくる人はほとんどいないという。

「ソウルの地下鉄はうるさいんです。理由は夏じゃなくて冬。ソウルの冬の寒さは厳しいから、路上生活者が地下鉄通路に集まってくるんです。皆、床に座ったり寝たり。そこで酒盛りをはじめたりする。市民から苦情がかなり寄せられて、ソウル交通公社が警備員を大幅に増員したり、あまり使わない通路を夜は閉鎖したり……あの手、この手で対策をしてるんです。夏は人数が多くないけど、警備員は多い。暑さしのぎの地下鉄は難しいんです」

 そんな事情もあるのだろうか。今年の夏、ソウルで「ピョンカンス」という言葉が生まれた。韓国語でコンビニを差す「ピョニジョム」と英語の「バカンス」を組み合わせた言葉だという。「コンビニ避暑」といったところだろうか。韓国のコンビニはイートインスペースをつくっている店が多い。そこが避暑地ということだろうか。

韓国のコンビニの冷凍庫には氷が入ったカップがぎっしり。これを買い、飲み物を買って暑さしのぎ