第83回ヴェネツィア国際映画祭(2026年)で「銀獅子賞」を受賞したことで話題になっているイ・チャンドン監督新作映画『もしもの愛』が、10月30日より一部劇場で公開、11月6日からNetflixで配信される。本作の見どころを紹介しよう。
■豪華共演!映画『もしもの愛』見どころは?労働争議の被害者夫婦vs富豪の夫婦
大企業でリストラに遭い、過酷な労働争議で心を病んだホソク(ソル・ギョング)とその妻ミオク(チョン・ドヨン)。彼らを題材にドキュメンタリー映画を撮ろうとするイェジ(チョ・ヨジョン)とその夫サンウ(チョ・インソン)。
物語は二組の夫婦の出会いから始まる。ミオクとイェジはたがいに好印象を抱くが、二つの家族には経済的に大きな格差がある。
ミオクはイェジに撮影を許可するが、心の傷が癒えないホソクは気乗りしない様子。しかし、ミオクは積極的で、二組の夫婦は少しずつ距離を縮めていく。
夏の終わり、二つの家族は撮影を兼ねた小旅行に出かけ、サンウが所有する海辺の別荘で過ごす。この旅行で、ホソクの心は癒されるのか。そして、イェジは満足のいく作品が撮れるのだろうか。
■快活な妻、屈折した夫
チョン・ドヨンは、ヴェネツィア国際映画祭で『もしもの愛』の演技が高く評価されたことで、韓国を代表する女優の地位を揺るぎのないものにしている。
芯が強く生活力がありながら、どこか危うさのある女性を演じさせたら抜群だが、本作でのミオク役は、『シークレット・サンシャイン』での夫と息子を亡くした妻役や『ハウスメイド』で奉公先の富豪の主人に慰み者にされる家政婦役などと比べ軽快さがあるので、かなり見やすい。
ミオクの夫役のソル・ギョングは2000年前後に韓国映画界の頂点に立ったベテラン俳優だが、売れっ子の宿命で二枚目、三枚目などさまざまな役柄に手を染めたため、実力が存分に発揮されない時期が長かった印象だ。
それを打ち破ったのが、2021年の映画『茲山魚譜 チャサンオボ』だろう。朝鮮王朝時代、政争に敗れ島流しにされた学者が、離島で自分の人生を再発見する演技は本当に心を打つものがあった。
本作『もしもの愛』での内省的な夫役は、名作『ペパーミント・キャンディー』で開花した屈折演技の系譜を感じさせ、まさに本領発揮の様相だ。