2026年3月21日の夜、BTSの“完全体”復活ライブ「BTS THE COMEBACK LIVE | ARIRANG」が、ソウルの景福宮(キョンボックン)の光化門(クァンヘムン)広場で開催された。
現代のポップカルチャーの最高峰が、朝鮮王朝の正宮である景福宮の正門を背にして、圧巻のパフォーマンスを披露する。これは普通のライブの演出ではない。そこには、518年間も続いた朝鮮王朝の歴史的な意義が込められているのだ。
■朝鮮王朝「五大王宮」を知ると、韓国時代劇で繰り広げられる人間模様が一層リアルになってくる
BTSの復活ライブを行った光化門広場は、もともと長きにわたって激動の歴史を見つめてきた。いわば、現代の韓国社会と過去の王朝をつなぐ「聖地」なのだ。
実際、景福宮をはじめとする朝鮮王朝「五大王宮」には、栄華だけでなく、血塗られた権力闘争の記憶が深く刻まれている。
たとえば景福宮は王権の威信を示す巨大な建築物だが、戦火による焼失と再建を繰り返した悲劇の場所でもある。
世界遺産にも登録されている昌徳宮(チャンドックン)は、自然と調和した美しい庭園を持っている。しかし、その裏では、1623年に15代王・光海君(クァンヘグン)を追放して王位を奪った16代王・仁祖(インジョ)のクーデターなど幾多の凄惨な事件の舞台となってきた。
また、王室の女性たちの住まいとして建てられた昌慶宮(チャンギョングン)では、王族女性と側室たちの激しい愛憎劇が繰り返されてきた。21代王・英祖(ヨンジョ)が一時の感情にまかせて思悼世子(サドセジャ)を米びつに閉じ込めて餓死させた、という悲惨な悲劇の現場にもなっている。
さらに、徳寿宮(トクスグン)や慶煕宮(キョンヒグン)も、朝鮮王朝を揺るがす大事件の現場になってきた。それは、歴史が証明している。
以上のように、豪華絢爛な五大王宮の陰には、絶対的な権力をめぐる私利私欲が王朝を揺さぶった生々しい痕跡が残されている。
そこで流された血と涙……この究極のコントラストこそが時空を超えた物語を多彩に揺さぶり、韓国時代劇の底知れぬ持ち味になっているのだ。