日本初サブリミナル体験動画①〈初級 猫篇〉

 2022年11月、YouTubeの森永乳業公式チャンネルが、サブリミナル効果を謳った動画CMを5本公開した。コメント欄は閉鎖されているため、効果の程はわからないが、動画はそれぞれ1万から8万回再生されている。

「サブリミナル効果」とは、意識と潜在意識の境界領域より下に刺激を与えることで表れると“されている”効果のことで、視覚、聴覚、触覚のサブリミナルがあるとされる。

 すでに19世紀から研究が始まったとされる「サブリミナル効果」は、広告の世界でも半世紀以上の長い歴史を持っている。

 1957年、市場調査業者のジェームズ・ヴィカリーは映画が映写されているスクリーンの上に、「コカコーラを飲め」「ポップコーンを食べろ」というメッセージが書かれたスライドを1/3000秒ずつ5分ごとに繰り返し二重映写したところ、コカコーラについては18.1%、ポップコーンについては57.5%の売上の増加がみられた、と主張した。

 この発表は大きな話題を呼び、翌年にはカナダのテレビ局が同様の実験を行なったが、効果は得られなかった。

 50年代当時、映画のフィルムはは通常1秒間に24コマで作られており、1/3000秒に1枚のスライドを表示することは技術的に不可能。ヴィカリーは、アメリカ広告調査機構の要請にも関らず、この実験の内容と結果についての論文を発表しなかった。1962年にはヴィカリー自身が「まだ実験はしていなかった」と認めた。

 その効果のほどは不明なまま、「サブリミナル効果」は多くの映画、テレビ、ドラマ、小説などで取り上げられた。