■「サブリミナル効果」が実際に使われたケース

2000年の米大統領選で共和党ブッシュ側がサブリミナルで対立候補のイメージダウンを狙った!?/WikimediaCommonsより

 1978年、米国カンザス州のテレビ局は警察の許可を得て、“BTKキラー”と呼ばれる連続殺人に関するレポートにサブリミナルメッセージを掲載し、犯人に自首させようとしたが、失敗した。

 2000年の米国大統領選挙の期間中、共和党のジョージ・W・ブッシュを宣伝するテレビ広告で、接戦を繰り広げていた民主党候補のアル・ゴアとBUREAUCRATS(官僚)という単語が画面上で点滅したとき、最後の部分に“RATS(スラングで「裏切者」や「嫌な野郎」の意味)”だけが表示され、サブリミナル効果を狙ったものでは、と指摘された。

 実際、史上最大の接戦と呼ばれ、一般票数ではゴアが上回っていたなど大混戦だったこの大統領選では、後にメディアを使った情報操作が数々明らかになっているので、これぐらいのことは行なわれていてもおかしくないところだ。

■『CITY HUNTER 3』事件

 1989年12月24日に放映された『CITY HUNTER 3』第11話“クリスマスにウェディングドレスを…(後編)”に、オウム真理教の麻原彰晃の画像が混入していた。

 1995年5月2日、『ニュースの森』『筑紫哲也ニュース23』(TBS)で『CITY HUNTER 3』第11話にサブリミナル効果を狙った画像が混入していたことが報道され、大騒動に発展した。

 実は1980年代、アニメ作品で1カットだけイタズラ画像を挟み、アニメファンがビデオで録画して楽しむというファンサービスが行なわれており、アニメ雑誌には専用の投稿コーナーがあるほど“当たり前”だった。

 放送時の1989年は、まだオウム真理教は“奇妙な集団”として注目を集めていた存在で、坂本弁護士一家失踪事件との関連性も明らかになっていなかった。1994年6月27日の松本サリン事件、1995年3月20日の地下鉄サリン事件により、『CITY HUNTER 3』第11話が問題視されるようになったのだ。

 なお、1995年5月7日、14日放送の『報道特集』(TBS)で、松本智津夫被告、上祐史浩のアップなど16カットが一瞬だけ挿入され、これが明確にサブリミナル効果を狙った日本初の事例となった。