■関東最強のパワースポットは古代出雲族に繋がる
諸説あるなかでも「関東最強のパワースポット」として絶対外せないのが、埼玉県さいたま市に鎮座する氷川神社。全国各地にある氷川神社の本社であり、武蔵国一宮(むさしのくにいちのみや)、つまり現在の首都・東京を中心に埼玉、神奈川の一部を含めたエリアの”ナンバーワン神社”なワケである(注1)。
注1:ややこしいが武蔵国の一宮から六宮までまとめた総社ということでは東京都府中市の大國魂神社があり、こちらが社格は上だという方も。
主祭神は素戔嗚命(すさのおのみこと)、つまりは天皇家の遠い遠いご先祖様。いまも元旦に宮中で行なわれる秘儀「四方拝」で礼拝されている。創建は飛び抜けて古く社伝によれば孝昭天皇3年でざっくり言うと紀元前5世紀!(注2)。
注2:さすがに紀元前は……と思うかもしれないが、あくまで実在したと仮定した推計です。
平安時代にまとめられた『先代旧事本紀』によれば成務天皇の御代ということで4世紀中ごろ。この記録によれば、この地に移住してきた「古代出雲族」が祖先神である素戔嗚尊、その妻の櫛名田比売命(くしなだひめのみこと)、大己貴命(おおなむちのみこと)を祀ったのが始まりとされる(注3)。
注3:そもそも「氷川(ひかわ)」という名も出雲国の斐伊川(ひいかわ)に由来するとの説が有力。
いずれにしても、あくまで伝説的な話で確かなのは古代から平安時代の人々まで「あそこはメッチャ古い、由緒正しい神社」と崇めていたということ。そして不思議なのは、古代には辺境中の辺境だったこの地にわざわざ出雲からやってきて神社を創建したという点だ。古代日本のミステリーで必ず登場する出雲族、彼らがなぜこの地を選んだかは、これから見ていこう。
■古代出雲族の計画か? 三つの神社が構築する「レイライン」
さて、歴史ミステリーという点ではここからが本番。実は、この氷川神社と同じさいたま市にある櫛名田比売命を祀った氷川女體(にょたい)神社、大己貴命を祀った中山神社が一直線上に並び、それが冬至の日の出/日の入りをぴったり指しているのだとか(注4)。
注4:正確にはさいたま市の冬至の日の出の角度は約118度で「氷川レイライン」は約119度と1度のズレあり(これ自体が編集部の計測なので概算ですが)。
古代遺跡を結ぶ奇妙な直線のことを「レイライン」というが、一直線にしかも洋の東西を問わず「死と再生」を意味する聖なる日・冬至を指すライン上に構成されたこの3つの神社。しかも、いずれも古代出雲族に関わる神を祀っていると偶然としては出来すぎだ。
かくして最近では「氷川レイライン」として三社を合わせたパワースポットとして紹介されることが多いのだが、このライン成立のカギを握るのが、実は氷川女體神社なのだという。