2023年1月20日から、映画『キラーカブトガニ』が公開されている。

 放射能の影響で突然変異した巨大カブトガニの群れが出現し、一匹の殺人カブトガニがゴジラ級に巨大化し、人間を襲うというストーリーだ。予告編では「サメの時代はもう終わった」と豪語するモンスター・パニック映画の最新話題作だが、確かに、そのビジュアルの気持ち悪さはサメに圧勝している。


映画『キラーカブトガニ』公式サイト
https://killer-kabutogani.com/

映画『キラーカブトガニ』予告編

 1979年公開のSF映画『エイリアン』では、大型宇宙船の中に入り込んだ未知の生物「エイリアン」に乗組員たちが次々と襲われる。エイリアンは成長に応じて次々と形を変えるが、第2段階の「フェイスハガー」のデザインは、カブトガニとの類似性を指摘されることがある。その不気味なルックスは、昔から人間に恐怖を与えるのかもしれない。

■カブトガニの種類と生息地

 カブトガニは「カニ」と名付けられているが、蜘蛛やサソリ、ダニなどの仲間。19世紀にはおおまかに古生代に繁栄した節足動物の三葉虫に近い生き物とだと考えられていた。現生のカブトガニはカブトガニミナミカブトガニマルオカブトガニアメリカカブトガニの4種のみだが、絶滅した化石種まで範囲を広げると80種以上が確認されている。このうち「カブトガニ」が日本で生息する唯一の種で、現生種でもっとも大型になる。

 日本では愛媛県、大分県、岡山県、佐賀県、長崎県、山口県、福岡県などの干潟の泥の溜まった海底に生息し、ゴカイ類、二枚貝、海藻などを餌にする。日本以外ではインドネシア、フィリピン、東マレーシア、中国などでも生息しており、北アメリカ東海岸の一部ではアメリカカブトガニが無数に生息している。

「伊万里焼」で有名な佐賀県の伊万里市、伊万里湾が日本最大の生息・繁殖地。伊万里市の多々良(たたら)海岸周辺の繁殖地が2015年、国の天然記念物として指定された。