■『九尾の狐とキケンな同居』イケメンすぎる狐、チャン・ギヨンの魅力

 そして、今回チャン・ギヨンの主演作として取り上げたいのが『九尾の狐とキケンな同居』である。

 演じたのは人間ではなく狐だ。それも999歳になる九尾の狐シン・ウヨに扮した。こんなに長く生きているので様々な時代に登場するが、特に朝鮮王朝時代には美男子そのもので当時の女性たちを惑わすような存在にもなっていた。

 そんな狐が現代では、イ・ヘリが演じる女子大生イ・ダムと危ない同居生活を始める。

 なぜ狐と人間が一緒に暮らすことになったのか。それは、シン・ウヨが街を歩いている時に自分の持っている大事な玉をイ・ダムが飲み込んでしまう、という騒動があったからだ。その玉をぜひ取り戻さなければならない。それで、シン・ウヨはイ・ダムと同居せざるを得なくなったのだ。

 こうして999歳の狐と女子大生の奇妙な生活が始まる。イ・ヘリは「顔面女優」と呼べるほどに表情が豊かで、いまどきの女子大生をハツラツと演じているのだが、その雰囲気に巻き込まれながらイケメンすぎる狐は冷静さを保って付き合っていく。

 この設定が抜群に面白いし、映像が素晴らしかった。さらに、ロマンチックコメディーの中でチャン・ギヨンの目の優しさに感心してしまう。

 かつて『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』で恐ろしいほどに鋭い眼光を見せていた彼は、『九尾の狐とキケンな同居』では目元に思索を加えて俳優としての多様性を見せてくれた。

『九尾の狐とキケンな同居』画像出典:tvN