ソウルの仁川国際空港は、仁川沖にある永宗島(ヨンジョンド)と龍遊島(ヨンエド)の間にある海を埋めたててつくられた。どこか住む人も少ない島に忽然と大きな空港ができあがったイメージを抱いてしまうが、このふたつの島には、漁村のイメージをはるかに上まわる街があった。
■仁川国際空港に夜遅くに到着、空港から近い永宗島へ。街の様子は?
夜11時近くに仁川国際空港に着いた。空港に近い、位置的には永宗島にある宿に泊まることにした。本来は島内を走るリニアモーターカーで宿に向かうところだが、コロナ禍の影響を受けて運休。無料のシャトルバスに乗って宿に着いた。
翌朝──。宿の1階に入っているコンビニでコーヒーとパンを買った。店の前がテラス席になっている。そこに座って周囲を眺めた。
脇を走る道路の向かいにバス停があった。空港に向かうシャトルバス乗り場だ。大きな荷物を手にした人々がバスを待っている。ヒジャブをかぶったイスラム圏からの女性もいる。彼らはトランジット組のようだった。空港からバス停で3つ。これだけの距離の場所に、1泊5000円ほどのゲストハウスが何軒もある。ソウル市内に出るよりは楽に乗り継ぎができる。もちろん高級ホテルも何軒かあるが。
コンビニの隣はコーヒーショップだった。そこでコーヒーを買い、前のテラス席で朝食をとる人が多かった。テラス席は満席になっていた。
暑い朝だったが空気が澄んでいて気もちがいい。ソウルから電車で1時間ほどの距離の島である。空気が違う。
店の前は広い歩道でテラス席をつくっても十分な広さがある。道路との境界は植え込みになっていて、その縁に座り、コーヒーを飲んでいる人も多い。
ソウル市内のようなわさわさした空気がない。夏の陽射しを受けて街路樹が輝いている。
コーヒーを飲む人たちは旅行者ではなかった。タクシーやトラックの運転手のような人もいるが、多くがビジネスマンだった。ネクタイをきちんと締めている。おそらく、このあたりに住んでいてソウルに通っているのだろう。仁川国際空港とソウル市内の間は電車やバスが充実している。渋滞も少ないのかもしれない。ソウル近郊のほかの街に暮らすより通勤は楽な気がする。