コンビニ前のテラス席でのんびりしていると、周囲の店の開店準備がはじまった。コーヒーショップの隣にあるのは、こぎれいな韓国料理店。その並びにも韓国料理の店が多いが、なかにはインド料理やイスラム教徒向けのハラル料理の店もある。トランジット客向けというわけではないだろう。このあたりに住むイスラム教徒が多いのだろうか。

宿が入ったビルの並びにインド&ハラル料理店。ここはそういう街?

 空港の街である。どこか国際色があって、旅行客にはすごしやすそうだった。わざわざソウルに出なくても、ここならまったりすごすことができる。路線バスを利用すれば、海岸近くの海鮮料理店にも行けるようだった。この島だけで、韓国がそこそこ楽しめてしまう。田舎と都会が、空港を軸に不思議に混じりあっている。

 近くのハヌル庭園に行ってみようかと思った。グーグルマップの見ると、そう遠くない。歩いて行けそうだった。秋になるとピンク色のススキが韓国人を集めるようだが、少し早すぎる。この庭園は仁川国際空港を離発着する飛行機が間近に見えることでも知られていた。

 気もちのいい松林のなかを、グーグルマップを頼りに歩く。もうそろそろ庭園の入口というところで、高速道路に阻まれてしまった。そこに高速道路があることは地図から読みとれていたが、その下を抜ける道があると思っていたのだ。

 しかし、高速道路に沿って進んでみたが、庭園に抜ける道はない。周囲を歩く人もいないから訊くこともできない。高速道路の向こうを着陸する飛行機ははっきり見えるが、間近というには少し遠すぎる。

 日もしだいに高くなり、気温もあがってきた。松林のなかにつくられたベンチに座り、着陸する飛行機を眺める。

 これはこれで楽しい。

 誰もいない松林でぼんやりできるのが永宗島ということだろう。島にはもう少し密度のある一角もあるという。次はそこに泊まってみようか。

 ハヌル庭園手前。ここまで近づいたが