韓国式焼肉がタイ化したムーガタは、タイの近隣国にでも人気料理になっている。カンボジア、ラオス、ミャンマー……。繁華街のなかには、ここはムーガタ通り? と思ってしまうほどムーガタの店がひしめくところもある。

 タイでは本来の韓国料理も庶民化の道を進みはじめている。しかしその味に首を傾げてしまうこともある。

■タイのショッピングモールの韓国料理店、豆腐チゲの味は?

 タイにはロータスとビッグCといった郊外型ショッピングモールがある。広い駐車スペースがあり、安いクーポン食堂も必ずある。クーポン食堂というのは、入口でクーポンを買い、それで支払うスタイルの食堂。形態は屋台村に似ている。中央にテーブルが並び、そこを飲食店が入ったブースが囲んでいる。

 一般的なタイ料理の店が多い。それなりのテナント料を払っているから、どうしても売れ筋に集まってくる。カオマンガイというタイ風チキンライス、タイ式のそば、豚足ライスの店……。そこに海外の料理も入ってくる。定点観測をしているわけではないが、ここに店を出す海外の料理は、タイの庶民食として定着してきた証だと思う。

 進出した海外料理の筆頭は日本だった。トンカツ、焼き鳥、サバなどの定食が並ぶ。1品が100バーツ(約400円)以下。日本人には箸が止まるようなものもあるが、一応は日本料理だ。

 2年ほど前だろうか。そこに韓国料理が登場した。チゲを中心にした定食がメニュー並んでいた。

 この種の店は入れ替わりが激しい。店舗によって違いがあるようだが1ヵ月契約が多いようで、売れ行きが悪いとすぐに撤退。別の店が入る。見ていると韓国料理の店は入れ替わることなくつづいている。ということは、ここのチゲ定食はそこそこ売れていることになる。定食ひとつが79バーツ(約320円)からという料金設定になっていた。

タイのショッピングモール、ロータスのクーポン食堂の一角を占める韓国料理店。国旗が韓国をアピールしているが