中央アジアと韓国のつながりは深い。日本からタシケントなど、中央アジアの都市に向かおうとすると、大韓航空かアシアナ航空になる。なぜその関係ができあがったのかは追ってお話しするが、そのルートで商売をはじめた男たちがソウルにやってきて、昼も夜もこの界隈……そんな世界だった。そんな需要を一手に引き受けていたのが、東大門にある数軒のウズベキスタン料理店だったのだ。
僕がこの界隈によく行ったのはコロナ禍の前だった。中央アジアと韓国との行き来は3年近くできなかったはずだ。その間、ウズベキスタン一族店はどうしていたのだろうか。
行ってみることにした。東大門歴史文化公園駅で降り、記憶を頼りに路地に入ってみる。
あった。
ネオンを見ると4軒。彼らは本国に帰ることなく、ソウルで生きのびていた。
どこも同じ味とわかっているから、客の少なそうな一軒に入る。羊のケバブ、パン、そしてヨーグルト、サラダ……。昔、よく食べた料理を迷いもせずに注文する。
ホッとした。
同じ味だった。
(つづく)