コロナ禍が明け、世界の物価は一気に高くなった。ソウルも例外ではない。交通費は政策的に抑えられている気がする。食事にかかる費用はあがったが、戸惑うほどの値あげではない。愕然とするほどの金額になったのはホテル代である。
■ソウルの宿探し、ホテルは軒並み値あげで、さてどうする?
コロナ禍以前、僕はソウル駅近くの温泉マークのある宿に泊まることが多かった。ホテルのカテゴリーでいうとモーテルである。当時は2万ウォンから3万ウォンが通り相場だった。日本円で2000円から3000円といったところである。
ところがこの状況が一変した。新型コロナウイルスの感染が収束し、久しぶりにソウルを訪ねた。いつも泊まっていたソウル駅周辺のモーテルがみごとに消えていた。ドアはチェーンで封鎖されていた。
困ってソウル駅を離れたが、みつけたモーテルの代金は、5万ウォンを超えていた。倍以上になっていたのだ。値あげの嵐は、僕が泊まるような安宿だけではなかった。一般的なホテルも軒並み値あげラッシュ。かつて5000円クラスの安めのビジネスホテルは1万円を超えていた。高級ホテルの値あげは倍どころではないという。
これにはまいった。
そこで考えたのは、飛行機に乗って貯まるマイルを使うことだった。僕はユナイテッド航空のマイルを貯めている。この航空会社はスターアライアンスのリーダー的存在だった。アライアンスというのは、連合と訳されることが多い。いくつかの航空会社がグループをつくり、いろいろな便宜を図っていた。
アジアの空を飛ぶ飛行機会社では、このスターアライアンスに加盟しているところが多かった。全日空、アシアナ航空、タイ国際航空、中国国際航空。エバー航空、シンガポール航空などだ。これらの航空会社は、フライトで貯まるマイルを共有していた。僕はユナイテッド航空のマイルを貯めていたが、アシアナ航空に乗っても、ユナイテッド航空のマイレージプログラムに加算することができた。
ほかのアライアンスやプログラムについては詳しくないが、ユナイテッド航空の場合、そのマイルを使ってホテルに泊まることもできた。その内容を見ると、高級ホテルだけでなく、ドミトリーといった最安値の宿もフォローしていた。
なんとかこのマイルを使ってホテルに泊まろうと思ったのだ。
ユナイテッド航空はアメリカの航空会社だから、そのホテル予約サイトも日本流ではない。駅からの距離もキロではなくマイルで表示される。そのサイトを苦労しながら検索していくことが多くなった。
今年の4月ごろだっただろうか。ソウルに行くことは決まった。宿をユナイテッド航空のサイトでみつけようとした。
すると1泊3000マイルほどの明洞にあるホステルがみつかった、朝食もついている。
3000マイルというのはいくらぐらいに相当するのか、というのは難しい問題だ。追って説明するが、ざっくりとした感覚でいうと、1マイル1円~2円と考えてもいい気がする。3000マイルというのは3000円から6000円ということになる。
ホステルというのは、ホテルとゲストハウスの中間のような存在だった。サービスはゲストハウスに似ているが、個室があることが多かった。僕は最近、このホステルに泊まることがときどきある。明洞のホステルも個室があるスタイルだった。
これは安く映った。なにかのキャンペーンかもしれない。急いで予約した。