■Kゾンビの背景にある韓国の社会不安
ゾンビ映画やドラマは世界各国で作られているが、なかでも韓国はゾンビと親和性が高いと思う。
79年前まで植民地だったこと。植民地支配から解放された5年後に国が二分され戦争が起きたこと。休戦後の混乱で軍人が力を持ち、30年近く軍事独裁が続いたこと。分断された国どうしの対立と緊張が続き、テロも相次いだこと。
急速な近代化によるひずみ（1994年の大橋崩落、1995年の百貨店崩壊）。通貨危機でIMF管理下に置かれたこと。
多くの大統領が退任後、危機的状況に陥ること。苛烈なスペック競争で国民の心身が疲弊しがちであること。先日のできごとのように、戦時下でもないのに戒厳令が発令されること、など、その理由は枚挙にいとまがない。諸行無常。今日のような日が明日も来るとは限らない。そんな意識がゾンビ禍に通底するのかもしれない。
朝鮮戦争の悲劇が多くの分断映画やドラマの名作を生んだように、Kゾンビからもさらなる名作が生まれるのだろうか。
●配信情報
Netflixシリーズ『ゾンビバース：ニュー・ブラッド」独占配信中
［2024年／全7話］演出：パク・ジンギョン、ムン・サンドン
出演：ノ・ホンチョル、イ・シヨン、チョ・セホ、Defconn、テヨン（少女時代）、ユク・ソンジェ（BTOB）、DinDin、デックス、コード・クンスト、クォン・ウンビ
