給湯器の横に数台並ぶ機械が気になった。機械の上にモニターがあり、つくり方の動画説明が繰り返されていた。それをぼんやり見ていると、以前にこんな動画を観た記憶が蘇ってきた。
「無人ラーメン?」
昨年、ソウルでは無人店の話題をよく耳にした。カフェ、アイスクリーム、帽子、無人ラーメン……。この連載コラムでもカフェや帽子店を紹介している。そのとき、無人ラーメン店の動画を観た。
その動画では、スタッフの姿のない店内が映しだされた。客はカップ麺を手にとり、さまざまなトッピング用の具を買い、それを機械にセットすると、勝手にカップ麺ができあがるシステムだった。物珍しさも手伝って、なかなかの人気だったようだ。
しかしその後、無人店の話はあまり耳にしない。ソウルの街に定着したのか。しかし知人はこういった。
「たぶん逆。閉店したところが何軒もあるって聞きました。値段が高かったんです。無人店で有人店より高いとなると……」
ところがその無人ラーメン機械がGS25にどーんと置かれていたのだ。GS25は無人ラーメンの世界に手をのばしたわけだ。
カップ麺を啜りながら、その機械を見ていたが、そこでラーメンをつくる客はひとりもいなかった。脇にある給湯器で湯を注ぐ人たちだけだった。
気になったので、毎日、無人ラーメンコーナーをチェックしていた。4日間見たが、利用している人はひとりもいなかった。GS25がはじめた無人店システムのとり組みは道半ばか。
