Netflix配信中のグルメバラエティ『隣の国のグルメイト』は、人気歌手ソン・シギョンと俳優の松重豊が入る店や食べ物も興味深いが、飲み食いする場面での二人のコミュニケーションも見どころだ。
とくに、憧れの松重豊ともっと親密になりたいソン・シギョンが、あの手この手で距離を縮めようとするところがおもしろい。韓国編第1弾の7話では、ソン・シギョンが焼肉を葉野菜で包んだものを松重に直接食べさせたようとしたのだが、失敗に終わっている。(以下、一部ネタバレを含みます)
■Netflix『隣の国のグルメイト』待望の韓国編!テジカルビを葉野菜で包んだものを、自分の手から相手に食べさせようとした理由は?
『隣の国のグルメイト』7話は、ソウル・永登浦にあるテジカルビの人気店「プイルカルビ」で撮影された。
ソン・シギョンはテジカルビを葉野菜で包んで丸め、直接、松重豊の口に入れようとしたのだが、拒否された。これはソン・シギョンが男だからとか女だからではないだろう。松重のダンディズムなのか? それとも井之頭五郎というキャラクターイメージ守るためなのか? あるいは、こうした「じらし」が見せ場になると思っているからか? おそらくどれもが正解だろう。
惣菜やごはんを葉野菜で包むことを、韓国語で「サム」という。雛鳥が親鳥のくちばしからエサをもらうように、サムしたものを直接口に入れてもらう。これは韓国人なら子ども時代に誰もが経験している。親子愛を象徴する場面だ。
それが転じて、韓国では、恋人どうし、友だちどうし、ホストとゲストの関係でも、この光景は見られる。
韓国の地方の食堂に行って、その店のまかないなどをごちそうになったとき、女将からサムしたものを顔の前に差し出されたことがある日本の旅行者もいるはずだ。粗っぽく見えるかもしれないが、これが韓国の昔ながらのもてなしである。恥ずかしがらずに受け入れれば、二人の距離はグッと縮まるだろう。
■ソン・シギョンは松重豊の酒断ちを解けるのか?
韓国には人と人とが距離を縮める儀式のようなものが多い。飲酒もそのひとつだ。ソン・シギョンは自身が酒好きなので松重豊と一緒に酔いたいのだが、酒をやめている松重を尊重し無理強いはしない。それどころかノンアルコールビールをプレゼントする気のつかいようだ。
筆者も酒飲みだからよくわかるのだが、相手がノンアルコールビールを飲んでいるのは内心さびしい。ソンは韓国編の収録中、一度は松重とソジュやマッコリ酌み交わしたいと思っている気配だ。
韓国の酒飲みなら、相手に半ば無理やりグラスを持たせ、有無を言わせず酒を注ぐところだが、繊細で聡明なソンはそれをしない。その代わり、自身が旨そうに酒を飲んで見せることで静かに誘い、松重が自主的に飲もうとするのを待っているようだ。
