K-POPコンサート韓国ドラマの聖地巡礼、Netflix配信『隣の国のグルメイト』などで話題の韓国グルメ食べ歩きなど、韓流エンタメを楽しむために訪韓する際、地下鉄の移動やコンビニでの支払いで必要になってくるのがカードだ。

 韓国はキャッシュレス社会ということになっている。実際、家を出るとき、現金をまったく持たない韓国人も少なくないという。支払いはすべてカードというわけだ。

 しかしそれは韓国人の話。日本人が韓国のキャッシュレス社会にすっかり乗ることができるかというと……そうでもない。

■韓国滞在中、便利なプリペイドカードは何か?日本円でチャージできるWOWPASSをつくるには?

 日本人が韓国で使うことができるカードということになると、まずクレジットカードである。しかしごく稀に、そのカードで支払いができないことがある……らしい。

 これはなにも韓国に限ったことではない。日本はいまインバウンドブームで、昨年は約3686万人の外国人が日本にやってきたという。その人たちもクレジットカードを使うが、ときに拒否されることがある。

 日本から見たら海外で発行されたカードになり、それなりの制約がある。アジアに出向き、現地の人と話していると、「日本で使えるクレジットカードをつくった」という話を耳にすることがある。先日、はじめて日本を訪れたタイ人に訊いてみた。

「日本に行く前に銀行で相談しました。タイで使っているクレジットカードを、日本滞在中は使えるように変更してもらいました」

 韓国も同じ状況なのだ。しかし僕の場合、店舗などの支払いで、クレジットカード払いができなかった経験は1回もない。しかしネットなどを見ると、「クレジットカードが使えなかった」という書き込みがたまにある。

 僕がこれまで、クレジットカードで苦労してきたのはキャッシングである。街なかやコンビニなどにあるATMで現金を引き出そうとすると、かなりの確率でカードが戻ってきてしまう。案内では韓国のメガバンクのグローバルATMなら大丈夫ということになっているが、そのATMでも受けつけてくれないことがある。理由はよくわからない。

 このコラムでも、その事情に触れたこともある。これは経験則だが、KB国民銀行のATMが拒否される確率が低い。その理由もよくわからないが。

仁川国際空港内のATM。右の2台がグローバルATMなのだが

 そんな事情が韓国のカード業界の耳に届いたのだろうか。2022年にWOWPASS(ワウパス)というカードのサービスが開始された。

 当初、このカードは話題にもならなかった。韓国のオレンジスクエアという会社が開発したカードだが、登録やチャージなどは専用の機械で行わないといけない。その機械がなければつくることもできない。おそらく最初は外国人が多いエリアに設置されたと思うが、なかなか目に留まらなかったのだろうか。

 しかし、同社は発売から1年9ヵ月ほどたった時点で、約80万枚のカードが発行されたと公表した。その頃から、このカードの話が耳に入るようになった。おそらく専用機械の設置台数が増えたからではないかと思う。

 WOWPASSは外国人専用のプリペイドカードである。カードに適当額をチャージし、支払い時にリーダーにかざせばOKというものだった。クレジットカードのように拒否される心配はない。このカードがすぐれたところは、日本円でチャージできることだった。専用機械にカードと日本円を挿入すると、そのときのレートで換算された額がチャージされる仕組みだった。両替をする手間がいらなかった。