これらはいずれも北朝鮮由来の料理である。食料事情のよくないイメージが強い北朝鮮だが、南北の分断以前、ひとつの朝鮮だった頃、北部の料理といえばじつは薄味で繊細な食べ物が多かった。
筆者の母親は朝鮮戦争(1950年~1953年)のとき北から南に避難してきた人なので、それは実感としてわかる。ここ数年、韓国で脚光を浴びている淡白な平壌冷麺はそれを象徴する食べ物だ。
北朝鮮由来のトッポッキは醤油ベースで赤くないし、中国・長春の北朝鮮レストランで食べた平壌温飯も淡白な料理だった。
食糧事情がわるくなると、少ないおかずでたくさんの穀物を食べるしかなくなったり、腐敗の心配が要らない保存食が重宝されたりするので、おのずと塩分や香辛料が多く用いられるようになる。
これは北朝鮮だけの話ではない。韓国でも食べ物にやたらと唐辛子が使われるようになったのは、世界最貧困だった朝鮮戦争直後。そして、長時間労働のストレス解消のために辛いものが求められた、1970年代以降の高度経済成長期だといわれている。
真っ赤な激辛ソースを麺にかけて混ぜて食べるピビム冷麺やピビムククス、血の池地獄のような真っ赤なチャンポンやカムジャタンはその例だ。



●配信情報
Netflixシリーズ『隠し味にはロマンス』独占配信中
[2025年/全10話]演出:パク・ダンヒ『弱いヒーロー Class1』(共同演出) 脚本:チョン・スユン『少年飛行』 クリエイター:ハン・ジュンヒ『D.P. -脱走兵追跡官-』シリーズ(演出・脚本)、『弱いヒーロー』シリーズ(クリエイター)
出演:カン・ハヌル『椿の花咲く頃』、コ・ミンシ『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』『五月の青春』、キム・シンロク『地獄が呼んでいる』シリーズ、ユ・スビン『愛の不時着』『弱いヒーロー Class2』、ペ・ナラ『D.P. -脱走兵追跡官-』シーズン2、ホン・ファヨン『埋もれた心』、ペ・ユラム、オ・ミネ