Netflix人気作『隠し味にはロマンス』5話では、料理人ヨンジュ(コ・ミンシ)、ソウルから全州に都落ちした食品会社の御曹司ボム(カン・ハヌル)、クッパの店のドラ息子チュンスン(ユ・スビン)とそこの店員だったミョンソク(キム・シンロク)の4人が切り盛りする全州の路地裏食堂「ジョンジェ」に、新たなミッションが課せられた。(以下、一部ネタバレを含みます)

■Netflix『隠し味にはロマンス』5話、食堂の4人に課せられた新たなミッション

 新たな課題とは、国際結婚を控えた韓国人男性とフランス人女性がたがいの家族を紹介し合う会食の席で、「辛くなくて塩分控えめ」の料理をつくることだった。「韓国料理だけど、辛くなくて塩分控えめ……」
ヨンジュが日本語とフランス語で書かれた自身のレシピノートをめくりながらつぶやく。

 日本語字幕では、「そんな料理あるかな?」という言葉が足されていたそうだが、それは日本の視聴者の心を代弁した意訳だろう。

 もっとも、この20年間で日本人の韓国料理の知識や体験は高度化、多様化しているので、韓国の食べ物が辛くてしょっぱいものばかりではないことは、みなさん先刻ご承知のはず。

韓国人向けの開城(北朝鮮)ツアーで出された定食。味付けは総じて淡白

■料理人ヨンジュが選んだのは北朝鮮式の料理

「ジョンジェ」での会食シーンに出てきた料理を見て、さすがはヨンジュと唸らされた。

 ユッケを目玉とした前菜のあとに出てきたのは、開城式マンドゥ、そして、小さなアワビタコを加えたサムゲタン。調理シーンには、ジャガイモをすりおろしたものを団子状にするカムジャオンシミらしきものが映っていたような気がする。

日本人向けの北朝鮮ツアーで出された開城式マンドゥ(手前左)
南半分が韓国に属している江原道でも食べられるカムジャオンシミ