韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンと、『孤独のグルメ』の松重豊が、韓国と日本で食べ歩きするNetflixバラエティー番組『隣の国のグルメイト』。シーズン2第5話では、ソン・シギョンが松重豊をソウルの韓国式中華料理店に案内し、チャジャンミョンやクンマンドゥ(揚げ餃子)、タンスユク(韓国式酢豚)などを食べさせた。
■一人メシ、一人酒がしやすい韓国の町中華
韓国のドラマや映画によく登場するチャジャンミョン(ジャージャー麺)を本場で食べてみたいという日本人はけっこう多いので、筆者もたまに同行の旅行者を連れて行くことがあるが、韓国旅行中、漠然と中華料理を食べたいと思う人はあまりいないだろう。
しかし、韓国の中華料理店は、じつは外国人が一人メシ、一人酒をしやすい雰囲気なので、一人旅のときの食事の選択肢に加えておくといいだろう。
韓国の中華は『隣の国のグルメイト』に登場した「西湖荘(ソホジャン)」のように店名を漢字で表記していることが多いので、日本の旅行者にも判別しやすい。たとえば、「北京飯店」「香港飯店」「阿房宮」「一品香」などは全国どこにでもある店名だ。
業態は日本同様、装飾も中華風で個室を備えた大型店と、日本で言う “町中華” の大きく2つに分けられる。
小ぢんまりとした町中華は、何人かで集まって会食するのではなく、一人でサッと食べてサッと出ていくような利用の仕方が一般的。だから韓国の飲食店のなかでは一人客の割合が多い。そもそも主人が外国人(華僑)、従業員も外国人(中国朝鮮族)である確率が高いので、日本からの旅行者の一人飯などなんとも思わないだろう。

■あんをかけない韓国式酢豚は最高のビールのつまみ
日本で町中華飲みが人気なように、韓国の町中華にも酒のつまみになるものは多い。なかでも筆者がおすすめしたいのが、ソン・シギョンと松重豊が食べていたタンスユク(酢豚)だ。
ソン・シギョンが番組で説明していたように、韓国の中華料理店では揚げ豚と甘いあんが別々に出てくることが多いので、好みで、揚げ豚をそのまま食べたり、別添えのあんにつけて食べたり、揚げ豚にあんを全部かけたりして食べている。
各自好きに食べればよいのだが、暑い季節に冷えたビールのつまみにするなら、揚げ豚そのままがおすすめだ。少しコショウをふってもよい。フライドチキンのような感覚で食べられる。
味変したくなったり、ビールからソジュに切り替えたりするときに、あんをつけたり、かけたりするとよいだろう。甘いあんとドライなソジュの相性はなかなかのものである。

韓国の町中華の雰囲気をよく伝える作品としては、ホン・サンス監督の映画『女は男の未来だ』が挙げられる。キム・テウとユ・ジテ扮する大学の先輩後輩が、鐘路の小さな中華料理店でアルコール度数が50度を超える高粱酒を数本空けながら無為な時間を過ごす様子が描かれている。
ドラマ『カジノ』や『誰もいない森の奥で木は音もなく倒れる』に出演しているリュ・ヒョンギョンの二十歳の姿が見られる映画『ザ・ブライド 花嫁はギャングスター2』では、麺打ち作業から出前の様子など、中華料理店の裏方仕事をじっくり見ることができる。
また、映画『ケナは韓国が嫌いで』のチャン・ゴンジェ監督作品『十八才』では、ドロップアウトしかけている高校生(ソ・ジュニョン)が庶民的な中華料理店でバイトする姿がリアルに描かれている。
