■日本のお好み焼きに相当する韓国の食べ物は?
『隣の国のグルメイト』のお好み焼き屋の様子を見て思い出したのは、東京のもんじゃ焼き屋だ。同じ粉もので庶民の食べ物。東京・墨田区で育ったという日本の知人の父(1925年生まれ)は、もんじゃ焼きは今でこそ専門店で安くない値段で食べているが、昔は駄菓子屋の鉄板で子供が小さなへらで焼いて食べるものだったと言っていた。
駄菓子ではないが、韓国でお好み焼きやもんじゃ焼きに相当する食べ物を挙げるとしたら、ピンデトッ(緑豆粉のお好み焼き)だろう。
ピンデトッは朝鮮王朝時代の宮廷料理に端を発するのだが、朝鮮戦争(1950~1953)後は救荒食として庶民たちの腹を満たしてきた。
食物繊維が豊富な緑豆粉を使うため、今では小麦粉メインの粉ものよりもヘルシーだとして女性にも人気がある。ソウルの地下鉄3号線、ヨンシンネ駅近くの延曙市場(ヨンソシジャン)には、1945年創業で今の女将が二代目の老舗「チョンイルチプ」があるので、昔ながらの味を試してもらいたい。


韓国人にとって、日本の粉ものはとても親しみやすい食べものだ。繁華街では1990年代からタコ焼きの屋台を見かけたし、商業施設のフードコートにもタコ焼きのブースがあった。
筆者は1990年代後半、語学留学で初めて東京に着いた日の夜、先に日本に来ていたルームメイトにせがんで、お好み焼き屋に連れて行ってもらった。ソースの上で踊るかつおぶしの風味に日本を感じたのをよく覚えている。
ここ数年の日本旅行ブームで、日本各地のお好み焼きを食べた人も増えたため、ソウルや釜山には大阪式や広島式の本格的なお好み焼きを出す店も増えている。
