ジェナ・オルテガとエマ・マイヤーズは、番組で最初に出てきたセントゥブ(味付けしていない豆腐)とトゥブティギム(揚げ豆腐)は美味しいと言いつつも、どこか物足りなさそうな気配もうかがえた。味付けしていない豆腐や揚げ豆腐は大豆の繊細な味わいに慣れていないと、醤油ベースのタレにつけて食べるとはいえ、少々間延びして感じられるからだ。過去、筆者が豆腐料理専門店に案内した日本の人の多くが二人のような反応を見せたのを思い出す。
しかし、二人は最後のトゥブチョリム(豆腐煮込み)には心から満足していたように見えた。それはスントゥブチゲ同様、唐辛子ベースのソースが明確なアクセントになっていたからだろう。
豆腐料理専門店でもない限り、豆腐煮込みを独立したメニューとして出す店は多いとは言えない。たいてい、大衆食堂のペクパン(日替わり定食)の副菜のひとつとして小皿で供されることが多い。家庭ではミッパンチャン(常備菜)のひとつとして作り置きされ冷蔵庫に保管されていることもある。
■スントゥブチゲは外国人にも人気
筆者は過去二十年間、外国の友人知人に好きな韓国料理を聞いてきたが、前述のスントゥブチゲはベストテンに入るくらい人気があった。サンフランシスコに駐在していた日本の友人も、現地の韓国料理店の人気メニューはスントゥブチゲだったと言っていた。
豆腐自体が淡白なので、アサリなどの海鮮系や肉系のダシの効いた濃い味付けと組み合わせると、万人受けするのかもしれない。豆腐のヘルシーさが海外で認知されていることもあるだろう。
ジェナ・オルテガとエマ・マイヤーズが食べていた揚げ豆腐に近いものは、ソウルなら阿峴駅前や孔徳駅前のブッチンゲ(ジョン)横丁で食べることができる。肉のジョンや白身魚のジョンなどの箸休めとしてトゥブジョンを頼み、マッコリとともに楽しんでほしい。

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