俳優の松重豊と韓国の人気バラード歌手ソン・シギョンが出演するNetflixグルメバラエティ隣の国のグルメイト』。番組のシーズン3「出張グルメ対決」第5話では、松重豊がバイプレイヤー時代から通っているという京都の割烹居酒屋にソンを案内し、サバの煮付けをはじめとする繊細な料理と店のヒストリーを楽しんだ。その内容は韓国人の京都幻想をふくらませるにじゅうぶんだった。

■『隣の国のグルメイト』に登場した日本らしさ、京都らしさが詰まった店、松重豊の目当ては意外にもサバの煮付け

 番組に登場した「両川(りょうせん)」は、カウンターがメインのこぢんまりとしたお店。料理はもちろん、酒にもこだわっている。そして、親から子に受け継がれた味と物語がある。まさに、韓国人が憧れる日本の飲食店の魅力がすべて詰まっている店だった。『孤独のグルメ』と並んで、韓国でも人気のある日本のドラマ『深夜食堂』の舞台「めしや」は「両川」よりずっと庶民的だが、どこか通じるところがあった。

 日本ではサバの煮付けは大衆食堂の代表的なランチメニューだと聞いていた。窪塚洋介主演の日本映画『凶気の桜』に、高級なものばかり食べていそうな在日韓国人のヤクザの親分(原田芳雄)が「サバ煮込み定食」に目がないと発言することで人間味を感じさせるシーンがあったのを思い出す。だから「両川」のように手の込んだものを出す店もあるのかと少々驚いた。

■韓国式サバの煮付け、コドゥンオチョリムとは?

 韓国にもサバの煮付けによく似た食べ物、コドゥンオチョリムがある。コドゥンオはサバ、チョリムは煮付け、煮込みを意味する。サバ、大根、ネギをコチュジャン、醤油、唐辛子粉、ニンニクなどで作ったソースで煮たものだ。

 日本のサバの煮付けとの一番の違いはニンニクと唐辛子がかなり効いていることだ。味が濃く、“ごはん泥棒” と呼ばれる食べ物のひとつである。日本では切り身が皿にのって出てくるが、韓国では鍋物のような感じで提供される。

 サバを使った料理では、鉄板でサバを揚げ焼きして食べるコドゥンオクイも一般的だ。

鉄板でサバを揚げ焼きして食べるコドゥンオクイも一般的