それはソウルという街の変化でもあった。江南が発展しはじめたのは1979年代初頭といわれる。韓国やソウル市の文化・教育機関が江南に移転。それをきっかけに大手企業も本社を江南に構えるようになった。そんな流れが生まれると、ソウルの中・上流層がこぞって江南に住みはじめる。

 街には最先端を走る店が次々に誕生していった。すでに飽和状態だった明洞を尻目に、江南の発展がはじまるのだ。そしていまや、韓国の人の間では、「江南に住むことが夢」とまでいわれるようになった。韓国のラッパーとしても知られるPSYの『江南スタイル』が世界的にヒットしたことも一因といわれる。

 そんな空気を日本人も敏感に察知する。日本人の滞在先は江南に移っていったようだった。しかしひと口に江南といっても、そのエリアはかなり広い。行政的にも江南区と瑞草区で構成される。その中心はそこなの? 一応地下鉄の江南駅はあるのだが。

 江南区にわけ入ってみることにした。

(つづく)

江南大路から一本脇道にはいると、こんな風景が広がる