Netflix配信人気作『素晴らしき新世界』は朝鮮王朝時代、王の側室として権勢をふるったが、やがて亡国の妖女として極刑に処された女性カン・ヒビンが300年後の現代に蘇り、女優シン・ソリ(イム・ジヨン)として生きる話だ。現代社会に適応し、どれだけ洋装に身を包もうと、彼女が朝鮮王朝時代の女性の気高さ、慎ましさを忘れず、ひたむきに生きようとする姿が視聴者の心を打っている。(以下、一部ネタバレを含みます)

■王に背いた罪人が島流しにされた耽羅(タムナ)とは?

 本作第6話、財閥3世のチェ・セゲ(ホ・ナムジュン)とともに、済州に出張したソリ(イム・ジヨン)が遠浅の海で波と戯れている。

 ソリ「耽羅は(王に背いた)大罪人が島流しにされるところだったが、現代では保養地なのか……」

 耽羅とはかつて済州が独立国だったときの国名で、15世紀の初めには朝鮮王朝に併合された。今でこそ済州はソウル空港から1時間で行けるが、当時は最果ての地もいいところで、ソリの言う通り、二度と中央に戻れない大罪人が島流しされるところだった。

 島流し。流罪。この残酷な刑罰は物語の悲壮感をあおるためドラマや映画にたびたび登場する。

 今年1600万人以上を動員し、日本での公開が待たれる映画『王と生きる男』は、朝鮮王朝時代、謀略によって僻地の江原道・寧越(ヨンウォル)に追放された若き国王・端宗(パク・ジフン伝説のキッチン・ソルジャー)と、彼を迎え入れた村長(ユ・ヘジン)をはじめとする村人たちの物語。端宗は寧越で非業の死を遂げる。

 映画『茲山魚譜 チャサンオボ』では、朝鮮王朝後期に起きた辛酉迫害(キリスト教徒とその影響を受けた実学者に対する弾圧)で、兄チョン・ヤクチョン(ソル・ギョング)は黒山島(全羅南道の離島)に、弟チョン・ヤギョン(リュ・スンリョン)は康津(全羅南道の南端)に流される。弟は赦免され、故郷に帰ることができたが、兄は黒山島で病に倒れ、生涯を終えた。

 また、『冬のソナタ』に続いて日本の韓流ファンを増大させた人気ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』では、濡れ衣を着せられたチャングム(イ・ヨンエ)と師匠のハン尚宮(ヤン・ミギョン)が済州に流された。チャングムの母親的な存在だったハン尚宮がつらい旅に耐えられず済州に着く前に絶命するシーンは多くの視聴者の涙を絞った。当時の済州は海を渡る危険を冒さなくてはならない文字通り最果ての地だったのだ。

済州に島流しにされた者や中央から左遷された者が、都恋しさのあまり北方向を望んだ東屋「恋北亭」(済州東部の朝天邑)
木浦から高速船で2時間かかる離島、黒山島(フクサンド)