銀行の部長として静かに生きているキム(ソ・ジソブ)が、突然姿を消した高校生の娘ミジン(ソ・スミン)を捜索するNetflixスパイアクション『エージェント・キム: リアリティベーティッド』。物語が進むにつれ、キム部長とその周辺人物の正体が明らかになってきて、俄然おもしろくなってくる。(以下、一部ネタバレを含みます)

■『エージェント・キム』怪力無双のユン・ギョンホはポスト、マ・ドンソク!?

『エージェント・キム』の主人公、キム部長の正体は元特殊工作員だ。彼の旧友である海兵隊軍服姿のジンチョル(ユン・ギョンホ)は海兵隊で数々の戦場をくぐり抜けた元兵士。テコンドーの道着姿のハンス(チェ・テフン)はテコンドーの元五輪金メダリストだ。

 キム部長と相棒二人が本領を発揮し始めた2、3話だが、なかでもジンチョルのアクションは痛快かつ爽快だ。キムの家で侵入者と闘うシーンの無双ぶりは、ユン・ギョンホがポスト「マ・ドンソク」の最有力候補に見えてくる。戦闘開始を告げる雄叫び「ロッケンロール!」は流行語になりそう。酒席での乾杯のかけ声にも使われそうだ。

 ジンチョルの怒りがキャンプファイヤーのような真っ赤な火柱だとしたら、主人公キムの怒りは青い炎。表情をほとんど変えずに耐えに耐え、沸騰点に達してからの演出は、このドラマ最大の見せ場と言っていいだろう。筆者のような中高年世代は、復讐系アクション映画の名作『ドラゴン怒りの鉄拳』や『燃えよドラゴン』や『死亡遊戯』を思い出さずにはいられない。

Netflix『エージェント・キム: リアクティべーティッド』独占配信中 画像:SBS

 3話では、キムの家の1階でクリーニング店を営むイム(パク・ジヌ/『素晴らしき新世界』『イカゲーム』)や、キムが勤める銀行の職員サンア(ソン・ナウン/『家いっぱいの愛』)にも秘密があることを匂わせていて、こちらも気になる存在だ。

■『エージェント・キム』で娘ミンジが父のために作った料理

 キムもジンチョルも娘を溺愛していて、そこが弱点でもある。キムの娘ミンジが救出されるかどうかが物語の肝なのだが、本作が俳優デビューのソ・スミン扮するミンジの健気な女子高校生ぶりは、殺伐としたドラマの涼風一陣だ。

 3話の回想シーンでは、新しいスマホを買ってほしいミンジが、父親に甘えるために朝食を準備するシーンがあった。

 彼女が作ったのはチェユクポックム豚肉をタマネギ、ネギ、ニンジンなどといっしょにコチュジャン系の甘辛ソースで炒めたもので、日本で言えば、肉じゃが、豚肉の生姜焼きに相当する家庭料理だ。

ソウルの大衆食堂のチェユクポックム