僕の周りには、周辺の店で乾物を売る中年女性たちが集まってきた。総勢3人。それぞれスマホでなにやら検索している。
ひとりの女性がスマホで1枚の写真を見せてくれた。それは巻きずし状のご飯にカムテを巻いたものだった。のり巻きである。こういう食べ方もあるらしい。ほかの女性が見せてくれたのは、和えた料理の中央にちょこんとカムテを載せている写真だった。もうひとりはスープ料理を見せてくれた。その中央にカムテが添えられている。
それを見ながら、カムテというのは、沖縄のアオサに似た食材のように思った。いや、おぼろ昆布のようにも思える。周辺の店の女性たちは、自分の仕事をほっぽらかしにして、僕にカムテの食べ方を教えてくれたのだ。その得意げな顔には商売っ気はない。それほどカムテはおいしいのだろうか。
いい市場だと思った。僕はそれから市場のなかをぷらぷら歩いた。人も多くないから散歩感覚である。店の人の売ろうとする圧が弱いから、商品を手にとってゆっくり見ることができる。
干し柿があった。6個で1万ウォン。日本のそれよりカキの実が小ぶりだ。日本ではあまり干し柿をみかけなくなったから、意外と喜ばれる土産になるかもしれない。エゴマ油の店には日本人女性がいた。
「この瓶は60ミリリットルじゃない。これなら機内もち込みができるからありがたい」
そんな声が聞こえてくる。市場散歩に時間がたつのを忘れた。