ソウルのお土産は意外に悩む。種類は多いが、それぞれ欠点もある。昔はキムチを買えばよかった。韓国といえばキムチ。白菜キムチ、カクテキなど種類も多く、僕はよく、ソウル駅にあるロッテマートの食料品売り場で買っていた。キムチに詳しいわけではないが、行くたびに、キムチのバリエーションが増えていた。

 エゴマの葉のキムチ、タラを使ったチャンジャ、水キムチ系も登場してきた。おそらく、「前回は白菜のキムチを買ったから、今回は別のものにしたい」といった旅行者の声がキムチ売り場に届いたのだろう。韓国を訪ねる人の増加に合わせて、お土産用キムチのバリエーションは多くなっていった。

■ソウル旅行土産、キムチや韓国のりに変わる珍しいものを探す

 しかしキムチ土産に暗雲がたちこめはじめる。キムチは水分が多く、機内もち込みができなくなっていく。2006年頃だったと記憶している。預け荷物に入れれば問題はないのだが、LCCのなかには預ける荷物を有料にするところがでてきた。

 韓国は滞在日数が短いから、荷物は預けず、機内もち込みですませる人が多い。キムチのために荷物を預ける出費が無駄に映る。そこに物価高が拍車をかける。キムチの値段がどんどんあがってしまったのだ。キムチのお土産需要はしだいに弱まっていった。

 となると、なにをお土産に……。韓国のりが無難なのだが、これは以前からの定番お土産である。あまりに安易だという思いがある。お土産というものは、どこか特別感のようなものをにおわせたいものだから、韓国のりには食指が動かない。

 ソウルの乾物通りに出かけてみることにした。中部市場とも呼ばれている。アーケード街で両側にはさまざまな乾物が並んでいる。

ソウルの中部市場、ドライフルーツの店。ここに干し柿もあった

 入口から数軒のところに韓国のりを並べている中年女性がいた。この市場は観光客向けではないので、店の女性たちが声をかけてこない。観光客の多い市場は、「これはどう?」「安くしますよ」といった日本語が飛び交い、その迫力に辟易としてしまうがある。しかしここにはそんな圧がない。のんびり乾物を物色できる。

 韓国のりは32袋で1万ウォン(約1091円)だといわれた。多すぎると首を横に振ると、

「これはどう?」

 とのりらしきものが差し出された。だが、韓国のりに比べると緑色が強い。

「カムテです」

「カムテ?」

 その場で調べてみると、韓国の西海岸で冬だけに採れる海藻だった。強い磯の香りとうまみが特徴だという。養殖はできないため、その量も限られ、貴重な高級食材のようだった。

 乾物通りは流れる空気ものんびりしているから、店の女性を前に、ゆっくりネット検索ができる。僕のそんな姿に、店の人たちはなにもいわない。

 そんな高級なものなら、かなり高価ではないだろうか。値段を訊いてみた。小さい袋が4000ウォン(約436円)、大きな袋が1万ウォンだという。

 ネットではかなり貴重な高級海藻と出ていたが、それほどではない。たしかに韓国のりと量単位で比べれば高いのだろうが、高級……といわれるほどではない気がする。ひょっとしたら、カムテもどきなのかもしれなかった。