俳優や歌手など男性タレント4人が、無謀にも本格登山に挑戦するNetflixリアリティ番組『なんで俺らが山登り』。カーザガーデン(シンガーソングライター)という愛すべき問題児と、急勾配でも気力体力が衰えない若手俳優イ・チェミンをはじめとするメンバーの会話やナレーションがいちいちおもしろく、登山への興味の有無に関係なく楽しめる。しかし、第2話の雪岳山の行程はイ・チェミンを除く3人にとっては終わりのない階段地獄だったようだ。
■Netflix『なんで俺らが山登り』急こう配に無口になり、ぐったりしたのはやはりあの男
平地が多かった第1話を経て、第2話では階段が増えてきた江原道(江原特別自治道)の雪岳山登山。
ナレーション字幕の「平地は縮地法で通過」の縮地法(チュクジボプ)とは、地面(距離)を縮めることで移動時間を短縮するというテレポーテーションのような術のこと。雪岳山の向こうの北朝鮮には、金日成将軍が抗日パルチザン時代に縮地法を使ったという神格化のための伝説があった。
今では現実的な解釈が進み、縮地法は効率的な体重移動で速度を上げる技術を指す言葉となっている。
階段に次ぐ階段で、体力に自信のない最年長のカーザガーデンだけでなく、制作陣のナ・ヨンソクPD(『花よりおじいさん』『三食ごはん』シリーズ)まで弱音を吐き始める。
筆者は「運動など犬の散歩でじゅうぶん」派なのだが、30代後半のとき、登山好きな先輩たちの「山を下りたあとの酒は旨い」という言葉に釣られ、神奈川県の塔ノ岳(通称バカ尾根)や山梨県の大菩薩峠に登ったことがある。
そのときは俗にいう「シャリバテ」(運動によって糖質が不足し、体が動かなくなる極度の低血糖状態)になり、先輩がくれた干し梅を食べてなんとか回復したり、下山後、完全にグロッギーになり、酒はおろかメシも受け付けなくなったりするという得難く苦い経験をした。
『なんで俺らが山登り』のメンバー三人が持参した水、羊羹、エナジーゼリー、海苔巻き(キンパ)、ラーメンの匂いに歓喜していた横で、青白い顔でぐったりしていたカーザガーデンと同じような状態である。