アシアナ航空と大韓航空の統合……。そこにはもうひとつの文脈があった。
アシアナ航空が就航をはじめたのは1988年である。韓国にとっては特別な年だった。盧泰愚(ノ・テウ)が大統領になった年である。盧泰愚は1987年、民主化宣言を発表する。そこには大統領の直接選挙が盛り込まれ、その選挙で選ばれて大統領になる。軍事政権から民主主義体制へ導いた大統領だった。だいぶ古いが、この移行期を描いた韓国ドラマが『第五共和国』。盧泰愚役をソ・インソクが演じている。大ヒット映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』は、民主化を求める市民や学生と軍が衝突した光州事件を題材にしている。
そしてこの1988年、ソウルオリンピックが開催される。東京オリンピックに次ぐ、アジアでは2都市目の開催。そこにはさまざまな意味が込められたが、韓国では国を挙げて英語教育にとり組むなど国際化への気運が一気に高まった。
民主化と国際化──。そのなかでアシアナ航空は生まれたのだ。国際化を支える民間の第2航空会社設立に経済界が動くことになった。
そして今年、アシアナ航空は大韓航空に吸収される形で統合していく。この事態を韓国の人たちは、どうう受け止めているのだろうか。(つづく)