Netflix人気時代劇『スキャンダル』は、『愛の不時着』のソン・イェジンが高官の妻のチョ夫人を演じ、“ロマンス職人”のチ・チャンウクが愛欲を求める風流人チョ・ウォンに扮している。さらに、チョ・ウォンが標的にしている若い後家アン・ヒヨンをナナが演じている。三者三様の駆け引きが非常に興味深い。(以下、一部ネタバレを含みます)
■韓国時代劇『スキャンダル』チ・チャンウクの演技に注目!思い詰めた表情を視線の揺らぎで情緒的に表現
『スキャンダル』第3話の後半、チョ・ウォンがチョ夫人の夫であるユ大監(イ・ゴン)と、囲碁をしながら酒を酌み交わす場面がある。そのときの会話を通して、ドラマが描く時代背景が正確にわかってくる。
ユ大監は思悼世子(サドセジャ)の墓を水原(スウォン)に移す仕事を担当したという。このあたりの史実をもっと詳しく解説しよう。
思悼世子は父親の21代王・英祖(ヨンジョ)の怒りを買って米びつに閉じ込められて餓死した。それは1762年のことだ。
彼の墓は、都の漢陽(ハニャン)の北方に位置していた楊州(ヤンジュ)にあった。しかし、息子のイ・サンが1776年に即位して22代王・正祖(チョンジョ)になると、敬慕する父の陵墓を移す大事業を始めた。移転先の水原は、漢陽の南にあって風水の最適地だったのだ。
実際に正祖が思悼世子の陵墓移転に着手したのは1789年だ。ドラマ『スキャンダル』では、その仕事をユ大監が率先して行ったという描写になっていた。
そういう経緯があったので、ユ大監はチョ・ウォンに向かって、英祖が最愛の息子をあえて米びつに閉じ込めて死なせたことが理解できない、と明確に断言していた。
その言葉を受けてチョ・ウォンは、米びつに閉じ込められるほど父親に逆らった息子(思悼世子のこと)の気持ちを理解できる気がします、と語っていた。その根拠として例に挙げたのは、息子にとって父親は決して相いれない存在だから、ということだった。
そう述べたチョ・ウォンもいつもの遊び人ではなく、真実を見極める求道者のような雰囲気を出していた。そんな彼に扮したチ・チャンウクは、思い詰めた表情を視線の揺らぎで情緒的に表現していた。