私の事務所代表(韓国ロス3年の日本人男性)のソウル釜山・大阪10日間の旅。

 シリーズ連載6回目は、ソウル旧市街では鍾路3街と並んでなじみ深い、乙支路3街と4街を歩く。

乙支路4街駅、4番出入口東側の路地裏の今

 ソウルに半日ほど滞在しただけで鍾路3街を奪還した気になって、次に乙支路4街、乙支路3街と再会したくなった。このエリアは12年ほど前、「ソウル大衆酒場めぐり」(チョン・ウンスクが案内する飲み歩きツアー)を始めたとき、よくスタート地点にしていたところだ。

 地下鉄5号線乙支路4街駅4番出入口のエスカレーターで地上に出ると、ソウル中心部とは思えない下町のような風景にあらためて驚く。この辺りはもっと変わっているかと思ったので拍子抜けした。左後ろにツインタワーがそびえているが、これはコロナ前に完成していたかもしれない。

乙支路4街駅の4番出入口。チョン・ウンスクの「ソウル大衆酒場めぐり」で日本から来る旅行者とよく待ち合わせ場所に使う場所だ

 そのまま歩道を歩き、二つ目の路地を右折するとすぐ右手に『大福マートゥ』というシュポ(スーパーの略=食料雑貨店)が見えて来る。鍾路3街の行きつけのシュポ『ヨングァン食品』は店内に申し訳程度しか商品が並んでいないが、こちらは壁面すべてが商品棚なので、食料雑貨店然としている。ここで酒が飲めるなんて誰も思わない。そんな意外性がウケてツアーの初期には一軒目酒場としてよく利用していた。

 私がこの店の生存を確認した数日後に、チョン・ウンスクが3年ぶりに訪韓した女性二人組を案内したところ、隣席のアジョシがマッコリ1本と桜桃缶をおごってくれたという。これぞシュポ飲みの醍醐味である。

右手が『大福マートゥ』。主人夫婦も親切でシュポ飲み入門に最適な店
『大福マートゥ』の店内。お菓子に囲まれて飲むのが楽しいという日本人旅行者も少なくない
チョン・ウンスク一行が隣席のおじさんにおごってもらった桜桃の缶詰と生マッコリ