ソウルに、釜山に、日本の旅行者が戻ってきているように、東京や大阪でも韓国人旅行者の姿をよく見かけるようになったようだ。
つい先日も私の知り合いのソウル在住の女性二人が5年ぶりに日本を訪問して、東京・神奈川・埼玉を旅した。二人はラジオの構成作家と出版社の社長で、韓国映画や韓国ドラマにも造詣が深い。アテンドしたのは私の事務所代表の日本人男性(山下龍夫/編集者)だ。
今の日本や日本人は、韓国人の目にどう映ったのか? とても興味深い。そこで今回から数回に渡り、代表のレポートをお送りしよう。みなさんが訪日韓国人をアテンドするときの参考にしてもらいたい。
◼️知人の韓国人女性二人が5年ぶりに日本訪問、滞在中のアテンドをすることに
お昼過ぎ、成田空港からスカイライナーに乗ってきた二人を日暮里駅で迎える。3日間アテンドするにあたり、不安が2つあった。ひとつは韓国語。もうひとつは二人が酒を飲まないことだ。韓国と関わるようになって33年になるが、体系的に韓国語を学んだことはない。韓国取材はほとんどチョン・ウンスクと一緒に行っているため必要を感じなかった。韓国映画が好きなので、日常会話フレーズはそれなりに仕込んである。一人で地方を取材しても困ることはない。しかし、今回は散歩する街や観光施設の説明を韓国語でしなければならない。大丈夫だろうか?
ゲストが酒好きなら、みんなで飲んで盛り上がれば通訳の精度は問題にならない。それは経験上よくわかっている。だが、今回の二人はこの世から酒がなくなっても困らない人たちなのだ。あたりまえだが、韓国人が全員酒飲みというわけではない。辛いものが苦手な人だっている。
まあ二人とは面識があるし、ビジネスとしてのアテンドではないので、わからないことはわからないと正直に言えばいいだろう。コロナ禍の3年間、韓国語を使う機会は激減した。しかし、配信サービスで韓国ドラマや映画と向き合う時間は増えたので、フレーズのストックは増えている。なんとかなるだろう。二人を連れて歩くエリアがどんなところなのかだけ予習しておいた。
余談だが、ゲストの一人、構成作家の息子さん(自称チョン・ヘイン似)は韓国の大手食品会社の海外営業部勤務で、コロナによるステイホームでインスタント食品需要が増大し、かなり忙しい3年間を過ごしたそうだ。映画『パラサイト 半地下の家族』にラーメン+チャジャンミョンが取り上げられたことも追い風になっただろう。
今回、ゲスト二人は東京・大塚駅前のホテル「OMO5東京大塚 by 星野リゾート」に宿泊する。5年前、チョン・ウンスクがトークイベントをやった際、ここに宿泊し、満足度が高かったので推薦した。ホテルスタッフによる大塚散策ツアーも行われていて、5年前に私も同行したので、その記憶は今回のアテンドの参考になった。5年ぶりに訪れたホテルはフロントの無人化が進んでいたが、外国人ゲストだとわかると、スタッフが飛んで来てくれるなど、人間味は失われていなかった。