■裏慶州21時、4年前に出逢ったバーは健在だった
目当てのビアバーは4年前と変わらぬ姿でそこにあった。訪韓できなかった3年間で心にぽっかりと空いた穴が埋められたようにうれしかった。この店は観光エリアにあったらそんなに注目しなかったが、慶州の人々の生活圏にぽつんとあるところが気に入ったのだ。私はこの辺りを勝手に裏慶州と呼んでいる。4年前はこの店のすぐ近くに東海南部線の線路があり、その下をくぐる車道があった。そこを映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』のヒョン(パク・ヘイル)のようにレンタル自転車を借りて、猛スピードで下ったのはいい思い出だ。しかし、車道は廃線ともに埋められてしまっていた。
この夜、ビアバーのカウンターでは30代くらいのカップルと20代くらいの常連女性が飲んでいた。田舎町の酒場のよいところは、我々が外国人とわかると、躊躇せず話しかけてくれるところだ。
どこの国のものだかも忘れてしまったビールや、同じ銘柄で度数の違うビールを3人で飲み、カウンターの若者たちと雑談しているうちに、2時間はあっというまに過ぎた。遠ざかっていた慶州を奪還したような満たされた気持ちでホテルに帰る。