釜山慶州を巡るツアー3日目の午後、慶州の古墳群と再会した後は、南川沿いの伝統家屋で韓定食をいただき、夜の月精橋を愛でてからフリータイムへ。4年前の慶州訪問時、偶然見つけたビアバーを訪ねてホテルからタクシーを飛ばした。

瑶石宮(ヨソックン)1779の韓定食は、すべての料理が同時に供されテーブルごと運ばれてくるのではなく、西洋料理のフルコースのように少しずつ運ばれてくるスタイル。主菜はトッカルビを思わせる牛肉料理(写真右下)だった
瑶石宮1779の建物はマダン(中庭)を取り囲む伝統家屋。写真は川風が通り抜ける座敷
瑶石宮1779の北側を流れる南川は飛び石で渡れるようになっている
月精橋の夜景。瑶石宮1779から川沿いを150メートルほど東に行ったところにある

■タクシー運転手さんとの会話で思い出した、もうひとつの韓国

 街を観光地としてだけでなく、生活圏としての側面も観れば、旅はもっと楽しくなる。ツアーで知り合った20代と30代の男性二人とともに、普門湖にあるホテルからタクシーで旧・慶州駅の南側に広がる皇吾洞に向かう。

 70代半ばになるというタクシーの運転手さんと世間話する。韓国は1964年から1973年までベトナム戦争に派兵したが、運転手さんが志願した直後に韓国の撤退が決まり難を逃れたという。

 ベトナム戦争がらみの韓国映画がいくつか思い浮かぶ。戦争の後遺症に悩む元・上官(アン・ソンギ)と部下(イ・ギョンヨン)の苦悩を描いた『ホワイト・バッジ/大殺戮外人部隊』。戦争に志願した夫を探すために慰問公演団のボーカルとしてベトナムに渡った妻(スエ)の物語『あなたは遠いところに』。主人公(ファン・ジョンミン)が家族のために自らが犠牲になって技術者としてベトナムで働くシーンがあった『国際市場で逢いましょう』などだ。

 今回のツアーではドラマのようなキラキラした韓国を見てきたが、実際の韓国はキラキラした部分と近現代史の傷跡がまだらになっている。