イ・サンの死後、「大妃キム氏に毒殺された」という噂が宮中に流れた。根拠は、イ・サンの死によって一番の恩恵を受けたのが大妃キム氏だったからだ。
確かに、イ・サンが亡くなった後は大妃キム氏の思い通りになった。後継者の23代王・純祖(スンジョ)がまだ10歳だったために、彼女は王族の長老という立場を利用して垂簾聴政(摂政)を行った。
その際に、イ・サンが重用した高官たちを次々に罷免(ひめん)して、自分の一派に重職を与えた。また、イ・サンが進めた制度をガラリと変えてしまった。
さらに、大妃キム氏はキリスト教徒を弾圧し、信者たちを大虐殺した。対立する政治勢力にキリスト教徒が多かったことが大きな理由だった。そうやって政治を私物化した大妃キム氏は、1804年に政治の表舞台から去り、1805年に世を去った。
結果的に、大妃キム氏によってイ・サンの政治的な改革はことごとく否定されてしまった。そうした史実を念頭に置いて改めて『赤い袖先』を見ると、チャン・ヒジンが演じた大妃キム氏の恐ろしさが身にしみてくる。
●作品情報
『赤い袖先』
[2021年/全17話]※TV放送は日本編集版の全27話
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨナ 脚本:チョン・ヘリ
出演:ジュノ(2PM)、イ・セヨン、カン・フン、イ・ドクファ
DVD&Blu-ray販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン