仁川国際空港の第1ターミナルの地下1階。僕はここを通ることが多い。到着すると、エスカレーターで地下に向かい、そこからソウルに向かう電車に乗るために空港駅に向かう。飛行機に乗るときは逆コースを進むことになる。
気になる食堂があった。電車が空港駅に着き、改札を通って、空港の地下1階に入る。すると正面に料理を載せるトレーを手にした人たちの列が見えることが多いのだ。とくに昼どきは長い列ができていた。
並んでいるのは、明らかに旅行者ではなかった。大きな荷物も持っていない。空港で働く人たちに映った。
■仁川国際空港、第一ターミナル地下1階の食堂
仁川国際空港ではないが、以前、世界の空港には、空港職員用の食堂があり、そこを旅行者も利用できることが多かった。空港の飲食店はテナント料が高いため、食事代も高くなる。しかし空港で働く人は、そんな食堂で食事をすると出費がかさんでしまう。そこで空港は、不便なターミナルの隅などに空港で働く人たち向けの食堂をつくった。空港職員の社員食堂のようなものだった。
こういう食堂を知っていると、どこか旅の通のように思われたものだった。日本の空港の場合、いつ頃からか、この種の食堂が姿を消してしまった。地方空港にはあるのかもしれないが、僕がよく利用する羽田国際空港と成田国際空港には、そんな食堂がいまだみつかっていない。旅行者が入ることができない場所にあるのかもしれないが。
仁川国際空港の地下にある食堂は、そんな空港職員向け食堂に映った。いつもは時間がなく、通りすぎていたが、今回、そこに入ってみることにした。時刻は午後2時をまわっていた。
店は『Hoho Meal(호호밀)』。入口にはKorean Snack Barとも書かれていた。入ってみた。それほど大きな店ではない。無機質な四角いテーブルが並んでいて、店内はなんだかそっけない。