そして夜……。11時ぐらいになると、イートインスペースのテーブルを囲む若者の姿を見かけた。数人で盛りあがっているからすぐにわかる。
「コンビニで飲み会?」
とテーブルを眺めると、そこにはビールの缶もなければソジュという韓国の焼酎の壜もない。あるのは食べ終えたカップ麺……。
以前、ソウルから1時間ほどの京畿道の加平(カピョン)に行ったことがあった。夜、駅に近いコンビニでビールを買った。愛想のいい中年女性の店員はこういった。
「コンビニの店内でお酒を飲めませんから注意してください」
韓国のコンビニのイートインスペースは禁酒のようだった。完全に守られているわけではないようだが、僕が目にした若者たちもカップ麺だけ……。知り合いがこう説明してくれた。
「ソウルも物価が高くなったから、〆に麺類の店っていう余裕がなくなってきてるんです。とくに若者は。でもお腹はすく。で、コンビニになるんです。〆にカップ麺。最近は若いサラーマンもよくやるようですよ」
朝から晩までコンビニでカップ麺。思い出してみれば、以前からその傾向はあった。韓国のコンビニのイートインスペースは、コロナ禍明けの物価高でカップ麺コーナーの色合いはさらに加速したということか。