全北特別自治道(全羅北道)の群山(クンサン)で撮影された韓国映画、その名も『群山』(2018年)。日本では2022年に劇場公開され、最近、動画配信も始まった。
監督は中国朝鮮族のチャン・リュル。主演は『別れる決心』のパク・ヘイルと、『三姉妹』『クイーンメーカー』のムン・ソリ。
助演は『私たち、家族です〜My Unfamiliar Family〜』のチョン・ジニョン、『パラサイト 半地下の家族』『もうすぐ死にます』のパク・ソダム。
それ以外にも、『マスクガール』のムン・スク、『涙の女王』のイ・ミスク、『ゴースト・ドクター』のミョン・ゲナム、『私たち、家族です~』『ミナリ』のハン・イェリ、『恋慕』のユン・ジェムン、『アンナ』のチョン・ウンチェなど、ベテランや個性派俳優が突然出てきてハッとさせられる。
その内容は『群山』の前に日本で劇場公開されたチャン・リュル監督作品『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』以上に難解なので、解釈は専門家にまかせ、私は場面を通してその舞台である港町、群山の魅力を伝えることにする。
■20年前、群山は枯れた日本家屋が散見される町だった
群山の風景は映画開始から1時間以上楽しめる。元詩人のユニョン(パク・ヘイル)が、先輩の妻ソンヒョン(ムン・ソリ)と日本家屋をリノベーションしたゲストハウス「イウッ(IUT)」に泊まり、群山の町を気ままに散策する。
日本の人が群山に来たら、あちこちに和式の家が残っていることにまず驚くだろう。全羅道は昔から米どころで、植民地時代の群山は日本へ米を運ぶ積出港だったため、日本人が多く住んでいたのだ。
私が初めてじっくり群山を歩いたのは2004年の冬。当時は日本家屋を観光資源として生かす動きはほとんどなかった。たまたま雪が降っていたこともあり、朽ちかけた瓦屋根の家々が雪をかぶった姿は、日本の田舎町そのものだった。