■群山では、十数年前から日本家屋街の観光整備が始まった

 その後、2013年に訪れたとき、群山港に近い旧市街地に日本家屋を大幅改装した旅館風ペンションを目にして、衝撃を受けた。

椿の花咲く頃』が撮影された慶尚北道九龍浦浦項)や、『私たちのブルース』1話の修学旅行回想シーンが撮影された全羅南道木浦同様、群山も十数年前から日本家屋群がリノベされ、観光地として再開発されているのだ。

群山の月明洞にある日本家屋を生かした観光施設。カフェ、レストラン、宿泊施設などがある。『群山』ではパク・ヘイルとムン・ソリがここを歩いた
ゲストハウス「イウッ(IUT)」の前庭。『群山』の劇中、手前の椅子にパク・ヘイルやパク・ソダムが腰かけるシーンがあった
ゲストハウス「イウッ(IUT)」の客室入口には、『群山』のポスターが
ゲストハウス「イウッ(IUT)」のオンドル客室
ゲストハウス「イウッ(IUT)」の裏手にある日本家屋「旧・広津家」。『群山』の劇中、パク・ヘイルがここで開かれた公演を庭から見るシーンがあった

 過去、多くの大統領を輩出した慶尚道と違い、全羅道は1990年代末にキム・デジュン大統領が誕生するまで著しく開発が遅れていた。群山も例外ではない。町全体が枯れた印象だったが、私のように韓国の70年代風景が好きな者にとっては、たまらない風情だ。映画『群山』に登場する食堂や占いの店のたたずまいはまさにそれだった。

『群山』の劇中、ムン・スク扮する女将がパク・ヘイルやムン・ソリと酒を酌み交わした食堂
『群山』の劇中、散歩中のムン・ソリがふらっと入った占いの店